GMイネ「実験ノート裁判」 裁判所の判断は「本末転倒」と原告

新潟県上越市での遺伝子組換えイネ野外実験差止訴訟の過程で提起された「実験ノート情報開示請求訴訟」について、原告消費者が、裁判所の判断はおかしいとして東京高裁に控訴しているが7月3日、食の安全・監視市民委員会などが共催して原告代理人を招いた学習会を都内で開催した。学習会では、問題の遺伝子組換えイネの実験を誰が実施していたのか、その実験ノートを不開示にする裁判所の判断は情報公開制度を「間違って捉えたものだ」と主任弁護人の柳原敏夫弁護士は訴えた。

GMイネ実験ノート裁判学習会

遺伝子組換えイネの実験ノート訴訟を説明する柳原弁護士(3日)

新潟県上越市での組換えイネ野外栽培実験は2005年と06年、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機北陸研究センターが実施した。いもち病や白葉枯病対策としてカラシナ由来のディフェンシン遺伝子挿入の組換えイネについての栽培実験だった。周辺農民と消費者は花粉交雑への不安感、耐性菌発生による生態系破壊の危険性を主張して実験差止の仮処分を申し立てた。却下判決、控訴棄却となり、原告側敗訴に終わったが、この裁判は「実験ノート」情報公開訴訟も提起していた。実験を担ったのは誰か、その実験ノートには実験の核心部分が記載されているはずなので公開が必要だ、などを主張したものだ。

「実験ノート」訴訟で裁判所は、実験ノートは「情報公開の対象である法人文書に当たらない」と判断。柳原弁護士が問題視するのは、誰が実験をしたのか、その立証を消費者側に求めた点。「研究の内情を知らない者は情報公開制度を利用する資格なしと言わんばかりの本末転倒の態度」としている。今年5月7日に控訴した控訴審でコトの重大性を社会に訴えていくとした。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. こどもの事故
    ゴールデンウィークを控え、宿泊先や親戚の家に置かれた製品で子どもが思わぬけがをする可能性があるとしてc
  2. 電話相談
    大阪弁護士会の消費者保護委員会は4月26日・27日の両日、紅麹サプリ健康被害110番を実施する。小林c
  3. 豪州消費者団体Choice
    住宅ローンや家賃に関する苦情が増加しているのは銀行が苦境に立たされている人を十分支援していないからだc
  4. 鶏肉
    日本政策金融公庫が実施した畜産物の購入に関する消費者動向調査によると、食肉と牛乳について、およそ6割c
  5. コンシューマーリポート
    4月22日のアースデイを前に、米国の消費者団体コンシューマー・リポートは気候変動が消費者の財布に与えc

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る