薄型テレビ転倒、乳幼児が下敷き 付属バンドで強く固定を

倒れてきた薄型テレビの下敷きになるなどして、乳幼児が救急搬送される事故が発生しているとして、東京都が注意を呼びかけている。事故の多くはテレビ台に登るなどして起きていたが、都の試験では1、2歳児は耐震マットで対策を施したテレビを引き倒す可能性があることがわかった。乳幼児が手をかけても倒れないよう、テレビ付属品のバンドなどで強く固定するようアドバイスしている。

都によると、東京消防庁が救急搬送した5歳以下の事故事例(ブラウン管含む)が、2017年度までの5年間に12件あった。1歳児が5人と最も多く、2歳児と4歳児がそれぞれ3人と続いた。入院例は1件のみ。ほかはすべて軽症だったが、意識を失う事例も起きていた。主な発生場所は居室や寝室、宿泊施設、客室などだった。

テレビ台によじのぼる事例が8件と最多。1歳男児はテレビ台から42型テレビと共に床面に転落。テレビの下敷きになり、額にけがを負った。リビングでテレビ台に登って遊んでいた4歳女児が床上に転落した際、32インチのテレビも落下し、頭部をけがする事故も起きた。女児およそ30分後に目がうつろになり、意識もうろうとなったという。

こうした事態を受け、都は薄型テレビの転倒に関する実態調査を実施。今年1月、1~5歳の子どもを持つ首都圏在住の保護者3090人を対象にアンケート調査を行ったところ、34.1%(1055人)が実際に子どもがけがをしたり、けがをしそうになった経験があると回答した。そのうち「けがをした」との回答は132人に上り、8人が入院し、51人が医療機関を受診するなどしていた。

また、危害・ヒヤリハット経験をもつ保護者を対象に転倒防止対策の有無を聞いたところ、テレビを「固定していない」との回答が63.3%と最も多く、「耐震マット」が22.8%と続き、「テレビ付属の固定器具(ベルトなど)」は11.9%にとどまった。

さらに都は、1、2歳児の引く力と薄型テレビを転倒させるのに必要な力を計測する試験を実施。その結果、固定していない場合や耐震マットを設置した場合では、乳幼児の引く力(最大値)が上回り、1歳の子どもでも40インチ、50インチのテレビを転倒させる可能性があった。一方、テレビ付属の固定器具を設置した場合は、1、2歳の子どもに対して転倒防止の効果があることがわかった。

都は消費者に対し、「耐震マットで乳幼児によるテレビの転倒を防ぐことはできない」と呼びかけ、付属品のバンドを活用するなどして対策を講じるようアドバイスした。また、事業者団体の電子情報技術産業協会に情報提供を行い、製品改良や注意喚起への活用を要望している。

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