WEBニッポン消費者新聞 
>>海外サイト(in ENGLISH)WEBニッポン消費者新聞 

TOP新聞購読の申し込みサイトマップ情報募集 |

TOP>消費者最新ニュース7月>最新ニュース
選べる3つの購読方法

  
消費者最新ニュース7月


高齢者被害の防止「ネットワーク構築が鍵」=北海道、埼玉、神奈川の取組み

 増え続ける高齢者の消費者トラブル。各地の消費生活センターや自治体は被害防止に力を入れるが、「あるべき姿が見えず、苦しい」との声が伝わってくる。そこで、地域に根を張りながら被害防止に取り組む埼玉県消費生活コンサルタントの会代表の佐藤洋子さん、北海道南西部の太平洋に面する白老町の白老消費者協会会長の野田頭正道さん、そして特定非営利活動法人神奈川県消費者の会連絡会代表理事の村田恵美子さんに話をうかがった。=関連記事をニッポン消費者新聞7月15日◆緊急特集「高齢者を狙う悪質商法」(リフォーム、信販、金融業界で悪質事例)に掲載

 佐藤さんは「高齢者と身近に接する民生委員や介護福祉士と消費生活相談員の緊密な連携が大切」と話す。野田さんは「金融機関や郵便局、警察、行政はじめ地域のネットワークが防止に効果的」と語る。そして村田さんは「消費者問題と社会福祉の分野でそれぞれ活動するNPO(民間非営利組織)同士の連携によってきめ細かな情報を高齢者の身近にいる人々に伝えるネットワークの構築」を挙げる。

埼玉県消費生活コンサルタントの会代表・佐藤洋子さんの話

 消費生活相談員をしていて感じるのは、高齢者が身近に話をできる相談相手の大切さです。地域の民生委員や介護保険福祉に携わる人々が何か異変に気付いた時、トラブルに応じてどこへ相談すれば解決につながるか共通認識を持てるようなシステムが必要でしょう。1人暮らしや家族と一緒に住んでいても孤独な高齢者の身近にいる人々は、ちょっとした変化を発見できます。

 その時、トラブルの内容に応じて、行政や消費生活センター、警察の各窓口にすぐに連絡するシステムが整えば、事前に被害を防止できるのではないでしょうか。そうしたシステムは、高齢者被害だけでなく、最近増加している知的障害者被害にも有効です。事件発生後の解決だけでなく、予防にもつながれば、悪質業者は仕事をしづらくなるはずです。

 理想は、そうしたシステムによって被害を防止したり、解決したりした結果を報告、あるいは収集するサイクルが整えば、高齢者被害の防止に一段と効果を発揮するでしょう。民生委員や介護福祉士の方々が、クーリグオフはじめ消費生活相談の基本的な知識を持って、高齢者の話を聞くようになると、より被害防止に効果的ではないでしょうか。

 行政の消費者相談窓口の相談員が約8割弱を占める埼玉県消費生活コンサルタントの会の会員は、学校や介護・高齢者に関する講座や集会を訪れ、連携を深めています。これからも、積極的に関係者と手を携えていきたいと思います。(談)

白老消費者協会会長、白老町消費者被害防止ネットワーク代表・野田頭正道さんの話
 
 高齢者被害に限らず、消費者トラブルの防止は、役場や金融機関など地元のネットワークの存在が重要です。そして、何か起きれば、そのネットワークに携わる人が必ず当事者に連絡をとることが鍵を握ります。

 悪質商法や詐欺などによる被害を防止する目的で、白老町は昨年、消費者協会、郵便局、銀行・信用金庫など金融関、漁協、農協、警察署、高齢者クラブ連合会、町内会連合会、社会福祉協議会、民生委員児童委員協議会、校長会、PTA連合会はじめ27団体で、白老町消費者被害防止ネットワークを立ち上げました。

 実際、苫小牧信用金庫と郵便局が振り込め詐欺を未然に防止しています。振り込む金額が大きかったので、不審に思った担当者が親身に話を聞いて、子どもさんに連絡して詐欺と確認しました。別の郵便局も警察との連携で、おばあちゃんが偽の株取引に引っかかるのを防ぎました。

 その時は、郵便局の職員が振り込み金額の大きさに異変を感じ、「子供さんに相談しなさい」といったん家に返しました。ただ、亡くなったご主人が株取引をしていたせいか、再び郵便局にやってきました。そこで、郵便局から相談を受けた警察が振込先の業者について茨城県警に問い合わせたところ、ただのアパートの一室だったことを確認して、振込みを食い止めました。なかなか郵便局の話に応じなかったおばあちゃんも警察の説得に応じました。未然に防げたのは、ネットワークの効果だったと思います。何より当事者と必ず連絡を取ることが大切です。

 ネットワークは、3カ月に一度、「ネットワーク便り」を作って、107の町内会に回覧しています。「ネットワーク便り」は、警察署、消費者協会、役場で構成する幹事会が作成しています。(談)

特定非営利活動法人神奈川県消費者の会連絡会代表理事・村田恵美子さんの話

 認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な人々を法律面や生活面で保護、支援する成年後見制度の活用と明確な目的を持ったネットワーク作りが大切だと思います。

 基本的な被害防止策としては「知らない人を家に入れない」「必ず誰かに相談する」「契約などをすぐに決めない」と高齢者に伝えることです。ただ、それでも被害は増えています。被害に気付かない高齢者も多いでしょう。やはり、ヘルパーさんや身近な人ができるだけ声をかける。

 そうした習慣に加え、成年後見制度の早めの活用が有効だと思います。手続きの煩雑さなどがあるせいか、成年後見制度への理解はあまり進んでいません。知らない方も多いでしょう。決して恥ずかしいことでもありません。来年から行政が成年後見制度の利用を積極的にバックアップするそうなので、今後利用しやすくなるはずです。

 また、ネットワークによるきめ細かな情報の提供が予防に役立つでしょう。行政は消費者問題と福祉を行っていますが、横の連携をうまく取りきれていません。そうした縦割りの行政に代わって、消費者問題と社会福祉の分野でそれぞれ活動するNPO同士が連携を取り合い、情報を高齢者一人一人に伝える。

 神奈川県消費者の会連絡会は6月、高齢者の消費者被害を防ぐため県と協働して普及啓発を実施するNPOに選ばれました。

今後、フットワークの軽いNPO同士が連携を深めながら、ヘルパーさんはじめ高齢者に身近で接する人々に、悪質業者の手口や困ったときの相談窓口などを伝えていきたいと考えています。消費者トラブルの情報の共有や提供という明確な目標があれば、ネットワークは作りやすいはずです。(談)

(2005年7月26日発信)

関連ニュース



会社概要お問い合わせ著作権・リンク
WEBニッポン消費者新聞に掲載されている記事・写真の無断転載を禁じます。
Copyright (C) 2004 Japan Consumer Press. All Rights Reserved.
定期的にお届け「年間購読」読みたい号だけ「1部購読」読みたい記事だけ「メール購読」