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新年に寄せて

株式会社日本消費者新聞社
代表取締役主幹 岩下道治

新年明けましておめでとうございます。

皆々様方におかれましてまさに静かな新年をお迎えのことと存じます。

令和3年の年頭にあたり、謹んで新春のお慶びを申し上げます。

昨年、そして今、私達人類は危機存亡の只中にあり、その元凶とも言えるコロナ禍の終息に日本が世界が現代疫学を集結し、その解明と克服に全力を投入しています。

予想もしなかった小さなウイルス――。その脅威は想像を絶するものがあり、新しく変異していくその“様”は新たに英国、南アフリカを中心に世界全域に拡大し、その衝撃は計り知れないものがあります。この様な先き行き不透明感が漂う中、募る脱力感を覚えずにはいられません。

こうした中、今年の消費者問題について幾つか捉えてみたいと思います。

まず筆頭に挙げてみたいのは地方消費者行政の実態でありましょう。昨年11月消費者庁が発表した「地方消費者行政現況調査」報告書は消費者関連業務に携わる人達に大きな衝撃を与えました。内訳を見ますと、相談員数はこの2年間で100人減、消費者担当職員もこの3年間で88人減。消費者行政予算のない市区町村数も増加しているとしています。今年はコロナ禍の影響で地方の消費者行政予算はかなり厳しくなることが予測されます。

井上信治消費者担当大臣は定例記者会見で「予算面などを通し相談業務など地方消費者行政の支援を図る」と表明していますが、真意を新たに問いたいものです。地方の消費者行政は消費者政策の重要な「核」であるからです。今年の消費者関連分野、その中でも行政面については、本紙新年特集号において、各省庁間の年頭所感で詳報しております。参照願いたく存じます。

さて、今年はデジタル庁が本格的にスタートします。デジタル化の波は消費者運動にも大きな変革を促しています。いま、コロナ禍の影響もありますが、オンラインシステムやテレワーク、リモートシステムなど新しい手法、まだ緒の段階とはいえ対応が急がれています。これまで運動の中核をなしてきた人達や消費者団体――。寄せるデジタル化の波をどう受け止め行動し、新しい市民社会を構築して行くのか注目し、見守りたいと思います。

ところで昨年10月ACAP創業40周年記念行事が開催されました。シンポジウムでは10年後を見据え、そのありたい姿と活動コンセプトが発表されています。成熟するであろうAI時代社会の消費者について活発な講演、討論が交わされました。基調挨拶では村井正素理事長は「ACAP理念を踏襲しSDGsの達成、ひいては持続可能な社会の実現に貢献する」と強調されました。今後の活動を見定めたいと思います。

令和3年という年、不安と期待が入り混じる中、未来への安心・安全な社会構築に寄与することを願い編纂に努めて参ります。

本年も宜しくお願い申し上げます。

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