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特商法事犯、昨年は108件検挙 8割が訪問販売 警察庁まとめ

警察庁

警察庁がまとめた生活経済事犯の検挙状況によると、2023年に全国の警察が摘発した特定商取引等事犯は前年比3件減の108件だった。被害総額はおよそ1114億円で、前年の102億円から急増した。全体の8割近くが訪問販売に関連した事犯で、屋根修繕工事といった住宅リフォーム工事請負契約に絡んだものが目立った。

報告書によると、訪問販売に関する摘発が85件(78.7%)で、被害者2万5571人、被害額1092億円となった。工事する意思も能力もないのに「蓄電池はメーカー保証が10年付いているが、保証が切れても当社が保証する」などとうそを言い、10都県の約100人から約2億円をだまし取とるなどした事件では、住宅リフォーム業者の代表者を特商法違反(不実の告知等)と詐欺罪で検挙した。

そのほか、電話勧誘販売の摘発が5件(被害者4万5427人、被害額13億円)、連鎖販売取引の摘発が1件(被害者2500人、被害額7億円)、訪問購入の摘発が12件(被害者2468人、被害額4949万円)など。自動車のバッテリー交換に関するリスティング広告を悪用した事犯や、高齢者を狙った健康食品の送り付け商法、暗号資産を商材としたマルチ商法などを検挙した。

また、全国の警察が受理した特定商取引等事犯に関する相談件数は1万1339件で、前年より2503件(28.3%)増加し、この5年間で最多となった。65歳以上が約半数(46.8%)を占めたが、20歳代からは連鎖販売取引や業務提供誘引販売取引に関する相談が目立った。

警察庁は「依然として、高齢者宅を狙った住宅リフォーム工事等の点検商法に係る事犯がみられる」と指摘。また、20歳代からの相談が多いSNSを利用した暗号資産・情報商材に関する連鎖販売取引や、自宅で簡単に稼げる副業を口実に高額の業務用ソフトウェア等を購入させる業務提供誘引販売取引については、「利殖勧誘事犯と同様に、被害が急速に拡大する可能性がある」とし、関係機関と連携して被害の実態把握や啓発・取締まりの強化にあたる方針だ。

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