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【豪州】住宅ローン返済巡り「銀行が支援に応じない」 苦情増加

豪州消費者団体Choice

住宅ローンや家賃に関する苦情が増加しているのは銀行が苦境に立たされている人を十分支援していないからだとして、豪州の消費者団体CHOICEが対応改善を求めている。金融機関には返済に苦しむ債務者への支援が義務付けられているが、債務者の支援要請に応じないケースが多数報告されているという。

オーストラリア金融苦情局(AFCA)に寄せられた「返済困難」に関する2023年の苦情件数は約5400件で、前年比25%増加した。三分の一が住宅ローンに関するもので、「金融機関に生活困窮支援を要請したのに返事すら得られない」との事例が目立った。また、国の窓口「債務ヘルプライン」には今年2月、前年同月比17%増の約1万5000人が相談を寄せ、その多くが住宅ローンの返済困難や家賃滞納など住宅関連の事例。相談担当者は「大手銀行はここ数年で改善してきてはいるが、まだまだ道半ば。適切に対応してくれないと訴える人が依然として多い」と指摘する。

ジョナサン(男性、仮名)のケースでは、父親ががんで亡くなったのをきっかけに、彼がうつ病と重度のアルコール依存症になり、間もなく失職。依存症から立ち直ろうとリハビリをしている間に借金が膨らみ、住宅ローンの返済も滞ってしまった。彼はある大手行に支援を求めたが、担当者が7回も変更し、一向に話が前に進まなかった。最終的には責任者に連絡がつながり、現在、ローンの期間延長を交渉一向滞納分をローン残高に組み込むことも認められ、対応の不備について少額の補償金も支払われたという。

モーゲージ・ストレス・ビクトリアの法務ディレクター、マシュー・マーティン氏は「金融業界は困っている消費者に向けて、経済的困窮支援に関する十分な情報を公開していない」と指摘。債務者からの支援要請に対する対応のまずさは業界全体に蔓延しており、四大銀行を含めて襟を正す必要があると語った。

銀行規範コンプライアンス委員会 (BCCC)の調査によると、支援要請に対する対応義務違反が2023年上半期に40%近く増加したという。

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