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米航空大手が持ち込み禁止 英国で販売続くスマートラゲージ

英国の消費者団体Which?

米国の航空大手各社がリチウムイオン電池を搭載したスーツケース「スマートラゲージ」の持ち込みを禁止した問題で、英国の消費者団体Which?は6月6日、欧州地域でも禁止になる可能性があるとして、これからの購入を見送るよう消費者に呼びかけた。スマートラゲージの大手ブランド2社はすでに事業から撤退しているが、インターネット上では依然として別メーカーを含め多くの商品が流通している。

スマートラゲージはスーツケースにリチウムイオン電池を搭載し、通信機能を持たせた旅行用かばん。かばんの現在位置をスマートフォンで追跡できるほか、パソコンの充電や遠隔自動ロックなどが可能。モーターで自走する製品も登場して、世界的に話題を呼んでいた。しかし、リチウムイオン電池の発火事故対策として、米航空大手5社が今年1月から順次、航空機への持ち込み禁止を実施。この規制が逆風となり、大手で先駆者の「Bluesmart」と「Raden」が倒産する事態に陥っていた。

リチウムイオン電池を取り外せば持ち込みの許可が下りるが、多くの製品は取り外しができない仕様。Which?は「多くの国がまだ規制しておらず、販売を続けている業者も数多い。しかし今後、欧州や英国でも禁止になる可能性があるため、これからの購入を全面的に支持することはできない」とコメントした。

BluesmartとRadenは小売店やインターネット通販で売られている製品について、返品、修理、交換、サポートには応じない方針。Which?は「英国の消費者は消費者法に基づき、購入日から30日以内は返品が可能。故障や破損が起きた場合、6カ月以内であれば修理や返品の権利がある」として、販売店に要求するよう呼びかけた。

スーツケースに大変革を起こすかにみえたベンチャー2社。Bluesmartは5年、Radenは3年で姿を消すことになったが、2社はホームページ上でこれまでの謝意を述べるとともに、「予期せぬ規制が残念な結果を導いた」と悔しさをにじませた。

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