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多重債務者、過去最少に 改正貸金業法成立以降

複数債務を抱える多重債務者が改正貸金業法成立以降、過去最少となったことが6月8日、金融庁などのまとめでわかった。多重債務問題に取り組む関係省庁による懇談会で報告された。

金融庁などがまとめた統計によると、消費者金融などから5件以上借り入れのある多重債務者は2018年3月末時点で8.6万人となり、改正貸金業法が成立した06年度以降、過去最少となった。前年度比で1千人の減少、06年度(116.9万人)の7.3%まで縮小した。

多重債務の最新動向が報告された第11回「多重債務問題及び消費者向け金融等に関する懇談会」(8日午後、金融庁にて)

1人当たりの借り入れ残高は53万円で、前年度比2千円の増加。直近5年間は52.4万~53万円の範囲で推移し、金融庁は「ほぼ横ばいとなっている」と説明した。

改正貸金業法の施行により、多重債務者数は減少傾向にあるものの、近年は銀行カードローンの過剰貸し付け問題が発生している。

懇談会で、新里宏二氏(日本弁護士連合会消費者問題対策委員会幹事)は、減少傾向だった自己破産申立件数が2016年に増加に転じたことを報告。カードローン残高の増加との関連性を指摘するとともに、カードローン債務者数を統計に反映させるよう求めた。

また、谷崎哲也司氏(日本司法書士会連合会常任理事)は、法的解決済みの事案についても、債権回収業者から返済を求める書類が届く事例が発生していると報告。「専門家に依頼せずに自ら手続きをした利用者の場合、十数年後にこうした請求が来ると、支払ってしまい再び債務を負うという問題も発生する」として、債権譲渡にからむ管理のずさんさを問題提起した。

 

(※2018年6月11日、17時10分に一部本文修正しました)

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