サイトアイコン WEBニッポン消費者新聞

種子法の復活運動に参加を 都内消費者団体が学習会

4月の種子法廃止が食生活にどう影響してくるのかを考える学習会が6月20日、東京都消費生活総合センターで開催された。講演した「日本の種子(たね)を守る会」事務局アドバイザーの印鑰(いんやく)智哉さんは「規模の小さな地方の品種が捨てられ、国内で完全自給している種子の多様性がなくなるおそれがある」と指摘し、種子法復活法案の成立を求める署名運動への参加を呼びかけた。

種子法の復活運動を呼びかける印鑰智哉さん(20日午前、東京都消費生活総合センターにて)

学習会は都内の消費者17団体でつくる東京消費者団体連絡センターの主催。消費者団体や生協組合員など54人が参加し、種子法廃止による日本の農業や食生活への影響を学んだ。

種子法(主要農作物種子法)はコメ、麦、大豆の種子の安定供給を目的に1952年に施行され、戦後の食料生産を支えてきた法律。都道府県に種子の開発や普及を義務付け、種子生産計画のもと、地域の気候にあった多様な品種が開発されてきた。ところが2016年、民間企業の参入を促そうと規制改革推進会議で廃止案を浮上。17年には閣議決定され、国民的議論もないまま4月1日付けで廃止された。

種子法廃止の影響について、印鑰さんは「民間企業が開発する種子は広域をカバーする品種で、農薬、化学肥料とのセットで販売する戦略。生産性の低い、規模の小さな地方の品種が捨てられ、種子の多様性がなくなる上、農業のあり方すら変わってしまう」と指摘。種子の価格高騰、外国資本の市場独占、種子の自家採取の禁止化も危惧されるとした。

一方、2008~09年に穀物価格が高騰した食糧危機などを契機に、国際的に生物多様性や家族農業が見直され始めたと説明。世界各地で種子を守る市民運動も活発化しているとし、「日本でも多くの地方自治体が種子事業の継続に動き出している。日本の種子を守る会では種子法の復活を求める署名活動を展開しているので協力してほしい」と運動への参加を呼びかけた。

東京消費者団体連絡センターの五十嵐ちづ子さん(多摩のくらしを考えるコンシューマーズ・ネットワーク代表)は「種子法廃止についての報道がほとんどなく、食生活にどう影響してくるのか私たちには知らされなかった。問題が山積みになっているが、それを解決できるのは一人ひとりの力と消費行動だ」と強調。参加者からは、化学肥料が環境に与える影響を不安視する声や、重要な法律が知らないうちに廃止になったことを危惧する意見が出された。

モバイルバージョンを終了