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埼玉県消費者大会に700人 貧困の連鎖断ち切るための行動を

埼玉県内の消費者団体が一堂に会する埼玉県消費者大会が10月9日、埼玉会館(さいたま市)で開催された。午前中の全体会には約700人が参加し、誰ひとり取り残さない平和な社会と消費者の権利の実現を目指し、自ら声を出して行動する大会アピール案を採択。埼玉県民で生活困窮者支援に携わる湯浅誠さんの記念講演会も行われ、貧困の連鎖を断ち切る支援策として、子ども食堂への参加を呼びかけた。

約700人が集結した第54回埼玉県消費者大会の全体会(9日、埼玉会館にて)

子どもの貧困対策として、子ども食堂での「いるだけ支援」を呼びかける湯浅誠氏

埼玉県消費者大会は今年で54回目。県内の消費者団体24団体が大会実行委員会を作り、半年間にわたり議論を重ねながら開催に向けた準備をしてきた。開催挨拶に立った実行委員長の柿沼トミ子さん(埼玉県地域婦人会連合会会長)は「この大会は昭和40年に、賢い消費者になろうというスローガンで始まった。その後、多くの消費者団体と連携しながら本日の開催を迎えることになり、継続は力なりということを感じる。机上の理論ではなく、自ら考え、周囲を巻き込んで取り組みを広げてほしい」と言及。上田清司知事は「消費者が声をあげてこなければ、公害は長く続き、食品偽装も続き、環境問題は表面化しなかった。賢い消費者になるための様々な仕掛けと同時に、賢い生き方をするための仕組みづくりについても力を貸してほしい」と呼びかけた。

また、記念講演会で湯浅誠氏は、7人に1人いるとされる子どもの貧困の多くが潜在化していると指摘し、県内で設置数が増えている「子ども食堂」への参加を呼びかけた。湯浅氏は「包丁をイメージできない子どももいる。最低限の社会的知識すら得る機会のない子どもたちに、多くの大人が関わることで、その子どもは自らの家庭を相対化し、視野を広げ、気づきを得る機会となる」と強調。さらに「貧困の連鎖を生み出すような地域にしてはいけない。多くの大人が子ども食堂にいるだけで支援になり手助けになるので、ぜひ行って交流してみてほしい」と呼びかけた。子ども食堂の多くは対象者を限定せずに運営されており、大人の参加が可能。湯浅さんは「多くの大人がいることで、逆に貧困家庭の子どもたちも行きやすくなる」と説明している。

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