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【香港】高齢者7割が商品に不満 シルバー経済への対応を提言

香港消費者委員会

長寿国として知られ高齢化が急速に進む香港で、高齢者の多くが商品・サービスに不満を感じていることが、消費者団体の香港消費者委員会の調査で分かった。同団体は「リスクかチャンスか」と題した研究報告を作成し、「いまこそシルバー経済(シニアビジネス)の到来に対応する時だ。高齢者に優しい市場環境を整備するため、あらゆるステークホルダーが手を携える必要がある」と提言した。

研究報告では、高齢者は旅行、交通、外食、電気通信、レジャー、贈答品(祝賀や誕生日プレゼント)といった分野で大きな消費をする傾向があるとし、「高齢化の拡大とともに市場での存在感が増している」と指摘。一方で、大多数(71.7%)の高齢者が「ニーズに合った商品・サービスが見当たらない・選択肢がない」と回答したと報告。38.7%の人が直近1年間に様々な理由で不快な消費体験に遭遇していたことも紹介した。

さらに高齢者の脆弱性についても言及。加齢による機能低下により身体的・感情的・認知的・移動性の4つの脆弱性があるとし、脆弱性が1つあると不快な消費体験の遭遇率が倍増し、複数あるとさらに倍増すると報告した。ICTリテラシーの欠如による情報不足も大きな障壁となっているとし、よい商品を選ぶことが困難なことに加え、トラブル遭遇時に苦情や救済を訴えない傾向があると指摘した。

海外で行われている高齢者対策などを踏まえ、香港消費者委員会は▽政府が旗振り役となって高齢者保護に向けた市場環境を整備する▽NGO、学会、地域、メディアなどのステークホルダーが連携し、高齢者に公平・積極的な市場参加を促す▽高齢者視点の高品質な商品の開発とサービスの多様化を進める――よう提言。同委員会は「高齢者が市場を信頼できるようになって初めて、香港に健全なシルバー経済が構築される」と強調した。

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