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【米国】精肉施設で集団感染相次ぐ 非営利団体が労働改善要求

公益科学センター

米国の精肉施設で新型コロナウイルスの集団感染が相次いでいる問題で、科学者などで作る非営利団体「公益科学センター(CSPI)」は4月16日、食肉企業に対し、労働環境の改善や感染者への有給休暇の提供などを求める声明を出した。「食肉加工の労働環境はもともと悪かったが、新型コロナで状況はさらに悪化している」と指摘している。

CSPIやメディア報道などによると、米国では数日おきに食肉加工施設での新型コロナ集団感染が発生。直近では、食肉最大手タイソンフーズのアイオワ州コロンバスジャンクション工場で186人が感染し、同じく大手スミスフィールドの2工場(ウィスコンシン州とミズーリ州)でも集団感染が起きていた。

さらに4月上旬には食肉加工大手JBSの工場で50人が感染し、3人が死亡。スミスフィールドのサウスダコタ州スーフォールズの豚肉工場では518人の従業員の感染が確認され、同国で最大の集団感染事例となった。

CSPIは「もともと食肉加工の作業はリスクが高く、あらゆる職種の中で労働災害が最も高い割合で発生していた。今回の新型コロナ禍でさらにリスクが高まり、今やウイルスの繁殖地になっている」と指摘した。地元の報道では、スミスフィールドの労働者が「社会的距離が守られておらず、個人に与えられるべき防護服も不十分。(500ドルの)ボーナス支給も病気との引き換えのように感じる」と報告しているという。

CSPIは「食品業界は労働環境をもっと改善すべきだ」と指摘。新型コロナ対策から取り残される労働者に対し、感染した労働者に有給休暇の提供などを求める署名キャンペーンを展開している。

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