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急変する食環境、ロス削減へ先進技術活用を 都に提言

消費者と事業者でつくる「東京都食品ロス削減パートナーシップ会議」(座長・渡辺達朗専修大学商学部長)は11月6日、2030年度の食品ロス半減(2000年度比)を達成するための提言を取りまとめ、都に提出した。

気候変動やコロナ禍で食を取り巻く環境が大きく変化する中、「急激な需給変化に対応するため、ICTを活用した需要予測など先進技術の活用を進めることが重要だ」と指摘。オンラインを活用した消費者啓発なども求めた。都は提言をもとに「食品ロス削減推進計画」を作成し、来年3月までに公表するとしている。

東京都環境局に提言を手渡す渡辺座長(6日、オンライン会議システムにて)

都内では約51万トン(17年度)の食品ロスが発生し、事業系が7割以上を占める。パートナーシップ会議では2030年度のロス半減を達成するため、消費者・事業者・行政の連携による取り組みの方向性を議論。6日の第10回会合で提言を取りまとめた。

提言では、事業者に商習慣の見直しや過剰生産・過剰発注などの防止を求めたほか、消費者には買いすぎ・作りすぎ・食べ残しの防止や期限表示への理解、適正保存の実践、外食での持ち帰りなどを求めた。

また、コロナ禍で急変する需給変化について触れ、食品供給の役割を果たすフードサプライチェーンの強靭化が必要だと指摘。変化に対応するため、先進技術の活用を進める必要があるとした。

具体的には、気象情報を用いた在庫の適正管理▽最新の包装・冷凍技術による賞味期限の延長▽売れ残り防止へアプリサービスやインターネット販売の活用▽非接触販売や在庫管理の簡便化に向けた電子タグの導入▽オンラインでの消費者啓発――などをあげた。

パートナーシップ会議が設置された2017年以降、食品ロス削減推進法の成立やフードバンクの普及、相次ぐ災害や新型コロナ拡大など食を巡る環境は急変してきた。副座長の小林富雄愛知工業大学教授は「この3年の環境変化は激しく、様々な問題をコロナが一気に加速させた。今後も災害や気候変動、SDGs、働き方・暮らし方の変化など不確実性が高まり、食品ロス対策の流れは落ち着くことがない。提言はあくまでの現段階のものであり、これに縛られることなく環境変化に応じて取り組みをブラッシュアップしていく必要がある」と語った。

都は今後、提言をもとに計画案に策定し、来年1月下旬をめどにパブリックコメント(意見募集)を実施する予定。3月下旬に計画を公表する。

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