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レンジで野菜の栄養劣化する? 英国消費者団体が神話を論破

英国の消費者団体Which?

「食品の栄養が損なわれる」「がんになる」など電子レンジにまつわる神話がいまだに信じられているとして、英国消費者団体Which?は4月27日、こうした誤解を論破する記事を掲載した。同団体は「英国で最初の製品が発売されてから約50年になろうとするが、根拠のない噂は今も続いている」と指摘し、特に悪質な神話について、論文研究などをもとに真実を解説した。

「電子レンジは野菜の栄養を劣化させる」との神話については、「加熱し過ぎない限り、鍋で煮るよりもビタミンとミネラルが保持される」と報告。レンジ加熱は他の方法と比べて短時間で済む上、水を多く使わないため栄養素の流出が少なく、栄養素が保たれるとした。

「電子レンジのマイクロ波ががんを引き起こす」との神話に対する反論としては、「完全なる誤解」と一刀両断。がんの調査・支援団体CANCER RESEARCH Ukの「電子レンジの使用とがんのリスクの増加との間に関連性はない」とのコメントを示し、「電子レンジが悪いのではなく、何を調理して食べたかの問題。砂糖や脂肪、塩の摂取量を下げることをおすすめする」とした。

「マイクロ波が白内障を引き起こす」との神話については、眼科の専門家のコメントを引用。クリス・ハモンド教授は「マイクロ波が直接目を攻撃すると白内障になる懸念はあるが、電子レンジは密閉されており、使用中に扉を開けると安全装置が働いて切れるようになっている」と指摘。「つまり、改造されていない限り、加熱中の食品が回転するを見ているのは安全、との結論になる」とし、「電子レンジの使用が白内障を引き起こすとの科学的証拠はこれまでに確認されていない」と語った。

「食品に放射能が残る」との神話には、WHO(世界保健機関)の解説を紹介。「説明書通りに使用すれば、食べ物を便利に、安全に調理できる」、「レンジ加熱後の食品が放射能を持つことはなく、スイッチが切れた後も食品にマイクロ波エネルギーが残ることはない」とするWHOの見解を示した。

そのほか、使用方法に関する神話を次々と論破。「ビスフェノールA(BPA)不使用のプラスチック容器はレンジ加熱しても問題ない」との神話については、「BPAが含まれていなくても、プラスチックのレンジ加熱は慎重に」と指摘。高温に対応しない容器も多く、化学物質が食品に移行する可能性があると警告した。Which?は「BPAとフタル酸エステルが使用されていないことを確認し、電子レンジ対応との表示と安全性が示されている製品に限定することをおすすめする」とアドバイスしている。

英国で電子レンジが初めて発売されたのは1974年。European Journal of Cancerの2018年調査では、全世帯の95%が電子レンジを所有しているにも関わらず、5人に1人が依然として「電子レンジが癌を引き起こす」と信じていたという。

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