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仏衛生機関、「適量の赤ワインは健康に良い」説を否定

赤ワイン

フランス人の間で広く支持されてきた「フレンチ・パラドックス」。フランス人は肉類の摂取量が多いのに心臓病の死亡率が低いという疫学的な逆説を意味する言葉で、その理由としてあげられたのが「赤ワインを飲んでいるから」。この説を信じる人も多いが、仏消費者団体UFCは6月10日、「1日2杯のワインが禁酒よりも健康的だとする誤解が広まっているが、仏国立衛生医学研究所(Inserm)がフレンチ・パラドックスを強く否定する報告を行った」と伝えた。

UFCによると、フレンチ・パラドックスの語源となったのは1981年に発表された研究だといい、これに対し、Insermは「解釈の仕方により結果が大きく異なる可能性があり、信頼性が損なわれる」とし、方法論に問題があると指摘した。

また、赤ワインのポリフェノール効果についても、「細胞レベルの実験では、ポリフェノールは確かに抗酸化作用があることが確認されているが、こうした研究はワインに含まれる量と比べて天文学的な量で行われている」と説明。「想定される健康効果はアルコールから発生する有害物質(アセドアルデヒドなど)により非常に大きく相殺される」と報告した。

Insermは「適量の飲酒が、まったく飲酒しないことよりも健康に良い」のではなく、「適量の飲酒は、過度な飲酒よりもリスクが低くなる」のが正しい解釈だと強調。休肝日をはさみながら1日2杯以下、1週間に10杯以下に抑えて健康を維持するよう呼びかけている。

Insermがまとめた報告書によると、フランス人の4300万人弱がアルコールを摂取していて、成人の平均摂取量は1日27グラム(およそ3杯)。飲酒による健康的・社会的・経済的影響を減らすため、酒類の広告と販売を規制するエヴァン法の強化や課税の引き上げなどが必要としている。

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