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アルミ缶リサイクル率、大きく低下 コロナ禍で再利用停滞

◎3.9ポイント減の94%に 目標は6年連続達成

アルミ缶リサイクル協会がまとめた2020年度の飲料用アルミ缶リサイクル率は、前年比3.9ポイント減の94.0%だった。6年連続で目標の「90%以上」を達成したが、前年から大きく低下した。コロナ禍においても回収活動は堅調だったが、国内製造業の落ち込みやUBC(使用済みアルミ缶)相場の高騰などにより再利用が進まなかった模様。協会は「集められた使用済みアルミ缶が使われずに、一定量が市中在庫になっている」と分析している。

リサイクル状況を報告するアルミ缶リサイクル協会。新理事長に就任した花房達也ユニバーサル製缶社長はアルミ缶の国内循環向上策に取り組むと語った(6月18日、如水会館にて)

20年度のアルミ缶消費量は前年比760トン増の33万1178トン。一方、国内再利用量が1万1192トン減の22万5553トン、資源として海外に輸出されたUBC量が1265トン減の8万5590トンと再利用が進まず、リサイクル率低下の要因となった。ただ、コロナ禍でも回収量は前年並みを維持し、協会は「集団回収活動の一部が制限されたが、空缶が散乱したとの報告もなく回収活動自体はしっかりと行われた」と語った。

使用済みアルミ缶を再びアルミ缶に生まれ変わらせるCAN to CAN率は4.1ポイント増の71.0%と大幅に上昇。缶の軽量化も5.8%(2004年比)となり、「2020年までに5.5%」とする目標を達成した。いずれも国内生産利用量が大きく減少したことや家飲みが増加したことなど、コロナ禍での特殊要因が少なからず影響したという。

協会は2021年度から新たな目標を設定し、リサイクル率を「92%以上」、缶の軽量化を「2025年までに04年比6.0%」と引き上げた。花房達也理事長は「脱炭素社会へ大きく舵を切る動きがある中で、アルミ缶リサイクルをどう進めていくか。仕組みを含めて新たな提案をしていきたい」と語った。

(本紙「ニッポン消費者新聞」7月1日号より転載)

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