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暖房器具の火災多発 今冬は古い灯油やアルコールにも注意を

ストーブやファンヒーターの事故が毎年100件以上発生し、年間10人以上が死亡しているとして、NITE(製品評価技術基盤機構)は11月25日、正しい使用と定期的な清掃を呼びかけた。また、灯油価格の高騰に伴い、古い灯油を持ち越して使用するケースが想定されるとし、「異常燃焼や一酸化酸素の排出を促進させるため危険だ」と指摘した。

石油ストーブの近くでアルコール消毒液を使うと危険。NITEの再現実験では炎が上がった(NITE提供)

NITEによると、今年3月までの5年間にストーブとファンヒーターの事故が652件報告された。そのうち死亡事故は69件にのぼり、火災や一酸化炭素中毒で合計77人が亡くなった。この間、事故は2019年度まで減少傾向にあったが、直近の20年度は一転増加しており、新型コロナの影響で在宅時間が増え、暖房器具の使用機会が増えたことが要因とみられた。

事故原因をみると、石油タイプの製品では誤ってガソリンを給油したり、給油口のふたを閉め忘れて灯油をこぼしたりする誤使用の事故が目立った。洗濯物などの可燃物の接触による事例も多発していて、NITEは「これらの事故が発生した場合、大きな火災に至る恐れがある」と指摘した。清掃不足による事故も報告され、堆積したほこりが発火したり、ファンヒーターの吸気部をふさいで異常燃焼が起きたりしていた。

一方、電気タイプでは布団や衣類などの可燃物の接触による事故が多発。石油タイプよりも多く起きていて、NITEは「火を使用していないため、可燃物を近づけることに関して火災の危機意識が薄れることが原因ではないか」と説明した。電源コードや電源プラグから発火する事故も目立ち、製品を移動させたり向きを変えたりする際にコードに負荷をかけないよう呼びかけた。

また、新型コロナ下での新しい生活様式が求められる中、アルコール消毒液についても注意喚起を実施。これまでに事故の報告はないものの「実験ではアルコール消毒液を石油ストーブの近くで使うと炎が大きく上がることが再現され、リスクはある」として、暖房器具の近くで使用しないよう呼びかけた。

さらに、灯油の値上がりを踏まえ、古い灯油を持ち越して使用するケースを想定。「灯油は紫外線で劣化するため、古い灯油を使用すると不完全燃焼を起こす恐れがある。必ず専用のポリタンクで保管し、シーズンごとにすべて使い切るか廃棄してほしい」と呼びかけた。余った灯油はガソリンスタンドや購入店舗で引き取ってもらえるといい、購入業者に問い合わせるなどして適切に処理してほしいとした。
誤使用を気をつけることで防げる事故も多く、NITEは「可燃物を近づけず、清掃をきちんと行うなど、使い方を確認して事故を未然に防いでほしい」としている。

(本紙12月1日号「警鐘―安全と危険の狭間で」より転載)
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