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【欧州】信頼回復へ「全額前払い」見直しを 旅行業界に提案

欧州消費者同盟

パンデミックの発生や英国の老舗旅行代理店トーマス・クックの破綻などに際し、多くの消費者が前払いした旅行代金の返金トラブルに巻き込まれたとして、欧州の消費者連合組織BEUCは2月16日、旅行業界に対し、全額前払い制を見直すよう提案した。パンデミック後の膨大なニーズを見据え、消費者の信頼を取り戻す絶好の機会だと呼びかけている。

事業者が破綻したり旅行プランが中止されたりした際、消費者はEU指令に基づき、払い戻しを受ける権利が与えられている。しかし、条文があいまいなこともあり、法の趣旨を理解しない事業者が数多く存在。コロナ禍では払い戻しが延期されたり、現金ではなくクーポン券(バウチャー)で払い戻されたりする違法行為が相次いだ。クーポン券には期限が設定されていて、長引く感染拡大により使用できなかったというトラブルも起きている。

BEUCは「全額前払い制への消費者の信頼が完全に壊れた」とし、旅行業界について「そもそもビジネスモデルが不安定で破産のリスクが高く、破産に備えた資金も消費者を保護するには不十分だ」と指摘。ドイツ最高裁の判例をもとに、前払いは旅行パック代金の最大20%に制限し、残りの80%を旅行の1週間前または旅行開始時に支払う仕組みにすることを提案した。

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