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電気料金値上げ審査、消費者も意見提出を 全国消団連が学習会

大手電力会社5社が家庭向け電気料金の大幅な値上げを国に申請したことを受け、全国消費者団体連絡会(全国消団連)は1月6日、値上げ審査の論点を学ぶオンライン学習会を開いた。各地の消費者団体や生協など約80人が参加し、電気料金の仕組みや今後の動向などについて経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局の池田卓郎・取引監視課長と意見交換を行った。先の見通せない値上げラッシュに消費者の不安も高まっており、全国消団連は「学習会の内容を参考にパブリックコメント(意見募集)や公聴会で消費者視点の意見を発信していこう」と呼びかけた。

全国から約80人がオンライン参加した全国消団連主催「電気料金値上げについての学習会」。経産省電⼒・ガス取引監視等委員会事務局の池⽥卓郎課長(左)が規制料金の審査について解説した(1月6日)

4月からの規制料金の値上げを申請したのは東北、北陸、中国、四国、沖縄の5社。値上げ率は四国電力の28%から北陸電力の42%の範囲となり、北陸電力の平均モデル(30Aで月230kWh使用)では現行の月額6402円から9098円になる見通し。さらに北海道、東京の2社も値上げ申請を検討しており、大手10社のうち5社がすでに値上げを申請、2社が値上げを予定する。

こうした状況について、経産省の池田課長は「値上げ理由は燃料費と購入電力料金の高騰によるもの。各社とも燃料費調整制度における上限に達しており、電力を供給すればするほど赤字になる状況となっている」と説明。「新電力についても卸電力取引所での取引価格が高騰し、市場から撤退せざるを得ないところまできている。このままでは大手電力会社は危機的な経営状態となり、経営効率を高めた新電力までもが市場からの排除を迫られるという問題が起きてくる」と指摘した。

一方で電気料金の決定には透明性の高いプロセスが重要だとして、電力・ガス取引監視等委員会ホームページで詳細な情報提供を行っていることを紹介。審査についても「消費者からの心配や不安、要望といった声があることを踏まえ、値上げの妥当性について厳格に審査していく」と語った。

12月7日から審査に入った電力・ガス取引監視等委員会の料金制度専門会合には河野康子・日本消費者協会理事が委員として参加している。学習会で審査状況を報告した河野さんは「消費者の一番の不安は電力の安定供給に影響するかもしれないという点。今日の意見交換の内容も参考にして、消費者としての意見を審査に反映させていきたい」と決意を述べた。

学習会の事前アンケートでは、参加者から「値上げ自体はある程度やむを得ないが、値上げ幅があまりにも大きいため何らかの支援や対策が必要」、「できる限り必要最小限の値上げにとどめてほしい」、「電力会社は可能な限り経営改善をした上で、原発に頼らない脱炭素社会に向けてしっかりと取り組む必要がある」などの意見が寄せられていた。

料金値上げ申請については12月5日からパブリックコメントが行われているほか、電力各社での公聴会が予定されている。全国消団連は「今回申請された値上げ幅は大変大きく、私たちの生活に大きな影響を及ぼす。消費者視点の積極的な意見を提出してほしい」と呼びかけた。

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