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【欧州】森林伐採地からの輸入を規制へ 大豆やコーヒー、木材など

フランス消費者同盟

欧州連合(EU)は森林伐採地で作られた特定の原材料の輸入を規制することで合意した。企業に栽培地の確認を求める意向で、森林破壊ゼロの製品のみをEU市場で流通させる方針。パーム油、大豆、牛肉、コーヒー、木材などが対象となる。フランスの消費者団体UFCが1月7日、規制案の内容を伝えた。

UFCによると、森林破壊と闘う姿勢を示した規制法案は世界初の試み。昨年12月に欧州議会と欧州評議会で合意に達し、施行は2023年中の見通し。その18カ月後に大企業、24カ月後に中小企業に完全適用される。違反した企業にはEU域内での売上高の最大4%の罰金を科す。

規制対象は、熱帯地域や赤道域の森林破壊の原因となるパーム油、牛肉、大豆、コーヒー、ココア、木材(木炭含む)、ゴム、印刷用紙製品。さらに、これらを用いた製品として革、チョコレート、家具も追加した。UFCは「とうもろこしとバイオディーゼルが含まれなかったのは残念であり、なぜ免除されたのか、規制リストを見直す必要がある」と指摘している。

環境保護者や専門家から熱狂的な支持を受けた規制案だが、すでに課題も提起されており、(1)金融機関の融資(森林破壊と関連していないか)が対象外となっている(2)栽培地を偽装した違法品をどう排除するのか(3)(巨大な輸入国・中国など)ほかの国が森林破壊に関心がない場合、EUのみが取り組んでも効果が限定的ではないか――などの指摘があがっている。

国連食糧農業機関(FAO)の推計によると、1990年から2020年にかけて4億2000万ヘクタールの森林が消失し、森林破壊のおよそ10%がEUの消費によるもの。UFCは「脆弱な自然環境を保護するための行動は急務であり、EUは大きな一歩を踏み出したが、今回の規制案には多くの欠点がある。将来的には森林破壊への抑止効果がなかったことを証明する可能性がある」と課題を投げかけている。

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