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「有料老人ホーム相談会」に94件 解約・原状回復巡りトラブル

電話相談
◎全国有料老人ホーム協会が開催 改善措置提案へ

公益社団法人全国有料老人ホーム協会(有老協)は昨年10月4日から6日までの3日間、「2022年度有料老人ホームなんでも相談会」を開催。寄せられた苦情相談は94件となった。公表された事例概要によると、ホームとの契約問題、退去時の原状回復問題など深刻事例も含まれていた。有老協は「苦情対応委員会」のもと入居前・入居中の悩みに対応するため、「なんでも相談会」を毎年実施してきた。後援は厚生労働省。

有老協によると、94件のうち、ホームに対する問合せや質問などが約7割を占めた。苦情は約3割弱だったという。

苦情事例で最も多いのがホームとの契約・解約問題。次いで介護や食事、生活・医療支援など提供される役務の品質問題が続いた。次のような相談事例が公表された。

「有料ホームに入居することになり契約にあたって事前に契約書類等の書類を確認したい旨ホームに依頼したが対応してくれない。重要事項説明書も受け取っていない」

有老協によると、有料老人ホーム設置運営標準指導指針には重要事項説明書や入居契約書などは交付義務付けがある、求められたのに交付しない場合は老人福祉法違反となるとし、その旨を指摘し、交付を求めるよう相談者にアドバイスした。

退去時の相談では「有料老人ホームの退去にあたり9万円の原状回復費用を求められた。支払う必要はあるか」。

これに対しては、経年変化や車イス使用による部屋の傷など通常使用の損耗修繕費用などについては賃料に含まれている、通常使用を超える乱暴な使用で傷がついた場合は入居者の負担になるが、どの程度の傷か、なぜ傷がついたのかなどホーム側と話し合うことが必要、と提案した。

その他、ホーム入居6年、換気の悪さや臭いに悩んでいる、ホームに相談しても悩みに寄り添った対応をしてくれない、などの生活環境に関する相談も目立つという。

日本の高齢者向け住まいは年々増加。有料老人ホームは約1万5300カ所、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)も約8100カ所を超えた。有老協は「苦情相談も増加傾向。寄せられた事例を精査して改善措置を提案していく」とする。22年度発行の「知って納得!有料老人ホーム選び方マニュアル」(冊子)を提示し「これからの住まいのあり方を考える機会として活用して欲しい」と呼びかけている。

(本紙「ニッポン消費者新聞」2月1日号より転載)
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