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【香港】ペット用プール施設 料金・水質など情報開示に問題あり

香港消費者委員会

香港で犬用のプール施設が人気を集める中、香港の消費者組織「香港消費者委員会」は12施設を対象に行った調査結果を公表し、料金体系や水質、免責条項などの情報開示が十分ではないと指摘した。衛生状況やスタッフの資格保持状況など安全に関わる詳細情報を提供していない施設も多く、同団体は「これでは飼い主が適切な判断を下せない。透明性を向上させ、積極的に情報開示することが業界の喫緊の課題だ」と改善を求めた。

香港には20万頭以上の犬がペットとして飼われていて、近年、ペット用プールで遊ばせることが流行している。しかし、料金や安全上の問題で消費者トラブルが相次いでいるほか、犬の死亡事故も起きていた。そこで委員会は12施設(屋内温水施設7カ所、屋外施設5カ所)を対象にサービス状況や料金表示などを調査した。

その結果、ペットの応急処置に関する資格(ペット応急処置証明書)を持つスタッフがいる施設は5カ所のみだった。プール清掃の頻度については、すべての施設がウェブサイト上に公開していたが、具体的なろ過方法や水の交換頻度、洗浄方法、同時に利用できる犬の最大頭数などを問い合わせたところ、7施設が回答しなかった。

自社サイトに料金・サービス体系をすべて掲載している屋内温水施設は7施設中3施設のみ。一方、屋外施設のうち3施設は会員制だったが、入場料やライフジャケットレンタル料などの追加料金が必要な場合が多かった。また、12施設中7施設が犬のケガや死亡について一切責任は負わないとする不当な免責条項を用いていた。

委員会は飼い主に対し「愛犬の安全のため、ペットに適したプールを選ぶことが重要だ」とし、プールの構造(深さ、犬用の休憩スペース、飼い主用シャワーなど)や犬用ライフジャケットの有無、水質管理、プールの混雑状況などを適切に評価するようアドバイス。業界には、スタッフの資格取得・常駐状況、プールの構造、料金・サービス体系、水質管理、免責条項の全文提供と説明、第三者賠償責任保険の加入状況などの積極的な情報開示を求めた。免責条項については「たとえ消費者が署名したとしても、施設運営者に過失があった場合、その責任から逃れられない」として、公正かつ合理的な内容に改めるよう要請した。

犬をプールで泳がせるために飼い主がやるべきことも多く、委員会は獣医師の見解をもとに▽4時間前には餌を与えない▽準備運動としての散歩や排便の時間を確保する▽鼻の短い犬種(パグやシーズーなど)は気道が狭いため水による窒息に気を付ける▽病気や高齢の犬にとって水泳は激しすぎる運動になる――などの注意ポイントを示している。

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