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小麦のかび毒、一部幼児が過剰摂取 基準強化へ

食品安全委員会の専門調査会(座長・宮崎茂生物科学安全研究所参与)は3月9日、小麦に含まれるかび毒、デオキシニバレノール(DON)の規格基準の設定に関する健康影響評価を開始した。幼児の一部が耐容1日摂取量(TDI)を超えて摂取している可能性があり、厚生労働省が基準を強化する方針だ。

デオキシニバレノールの規格基準の設定に関するリスク評価を開始した食品安全委員会のかび毒・自然毒等専門調査会(9日午前)

DONは穀類(小麦、大麦、トウモロコシなど)の赤かび病菌により産生されるかび毒。急性毒性として嘔吐、慢性毒性として体重減少が知られ、1940~50年代にはDONによる食中毒事故が複数発生していた。厚労省は2002年、小麦を対象に「1.1mg/kg」の暫定基準を設定し、基準を超える小麦については販売の自主規制を事業者に求めていた。

今回は正式に規格基準を設定し、小麦の基準値を「1.0mg/kg」と強化する方針。食品摂取量とDONの汚染実態を基に暴露量を推計したところ、現行の暫定基準値では、1~6歳児の一部(5%)が食品安全委員会によるTDI(1μg/体重kg/日)を上回る「1.1μg/体重kg/日」を摂取している可能性があった。新基準値での暴露量は「1μg/体重kg/日」となる見通し。

海外では、国際機関のコーデックス委員会やEU(欧州連合)が乳幼児用の穀類加工品に、より厳しい基準値(200μg/kg)を設定している。日本では小麦を仕分け管理しておらず、厚労省の部会は「乳幼児用として分けて管理・製造することは現実的に困難」と判断。また、9割を輸入に頼っている関係上、これ以上の厳しい基準値設定は難しいとしている。

食品安全委員会は2010年、自らの判断で行ったDONの健康影響評価結果を厚労省に通知。当時も小児でTDIと近い暴露量推定値が確認され、規格基準の設定を求めていた。専門調査会では、当時の評価報告書に最新知見を追加する形でリスク評価を進めていく。

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