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米国はトランス脂肪酸と決別 非営利団体が勝利宣言

マーガリン

米国で6月18日、トランス脂肪酸を多く含む油脂(部分水素添加油脂、PHOs)の食品への使用が原則禁止される。この措置が始まるのを前に、食品政策を監視する非営利団体「公益科学センター」(CSPI)は6月13日、「トランス脂肪酸との最後の別れがようやく訪れた」とする勝利宣言を出した。CSPIは1993年からトランス脂肪酸に反対するキャンペーンを展開。25年間に渡る様々な取り組みがようやく実を結んだことになる。

米食品医薬品局(FDA)が2015年、部分水素添加油脂の規制導入を決め、猶予期間を経た3年後に実施するとしていた。一部例外や猶予期間の延長があるものの、週明けの月曜日(18日)から原則使用が禁止される。

CSPIの元エグゼクティブディレクターで上級サイエンティストのMichael F. Jacobson氏は「食品からトランス脂肪酸をなくすことは公衆衛生上の歴史的勝利を意味する。この措置により毎年何万人もの命を救うことになるだろう」と歓迎。規制導入が発表されて以降、食品業界による原料の切り替えも急ピッチで進み、「もはやレストランで提供される揚げ物やペストリー、パイの皮、ポップコーン、マーガリン、ショートニングなどの食品でトランス脂肪酸を見つけることはますます困難になっている」と一定の評価を与えた。

CSPIは1993年、FDAに対し、トランス脂肪酸の表示義務付けを要求。以降、25年に渡り公衆衛生キャンペーンを継続してきた。13年にはレストランのメニュー調査を行い、ある料理に33グラム(目標基準の約2週間分)が含まれていることを確認。「アメリカで最悪の料理」として公表するなどしたほか、マクドナルドやバーガーキング、スターバックスなどの大手チェーンを相手に、原料の切り替えを求める運動を繰り広げてきた。

一方、FDAは06年に表示制度を導入。13年には「部分水素化油脂が安全だとは認められない」とする予備的決定を発表し、15年にはその決定を確定。3年の猶予期間を経て使用禁止の措置をとるに至った。

CSPIのJacobson氏は「食品業界は年間80億ポンド(約363万トン)の部分水素添加油脂を使用してきたが、より健康的な油脂に置き換えるという大きな取り組みを行った」と評価した。さらに、06年にケンタッキー・フライド・チキンのセットメニューにトランス脂肪酸が15グラムあったことや、02年に菓子メーカー・リトルディーのゼブラケーキに7グラム含まれていたことなどを述懐し、「今日、それらの食品からトランス脂肪酸が検出されることはない」と報告した。

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