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消費者庁・岡村和美長官インタビュー 被害防止へ連携推進🔓

消費者庁・消費者委員会発足10周年――。今年9月は消費者行政にとって大きな節目となる。「消費者月間」中の5月27日、消費者庁が開催する「消費者月間シンポジウム」でも、来し方、行く末を話し合う機会が持たれる。確かなことは、消費者保護・支援制度が整備され、ここ数年間の法執行や「より外へ」と意識した広報活動の成果によって消費者行政の存在感が定着しつつも、その間隙をぬうかのように深刻な消費者事故が続発、悪質商法も地下茎を広げ伸長していることだ。ニッポン消費者新聞は「消費者月間」にちなみ、岡村和美長官に同庁の取り組み、現状を踏まえた今後の方向性をインタビューした。岡村長官は、消費生活が高度情報化とグローバル化の波を受けている今こそ「地域との連携が重要」とし、「法執行面での連携・支援、適格消費者団体への応援、そのための関係機関との密接なつながりの構築」などを重視していくと説明。また、消費者を一人ぼっちにさせずに「被害事例には消費者庁が組織として対応できる力を培っていく」とし、組織力強化を示唆。さらに、厳しい環境を乗り越えて太くなる木幹のように、「消費生活を取り巻く環境変化への対応力も育みたい」とし、消費者問題の専門家や若い職員の育成にも力を注ぐことを表明した。
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連携を大切に

岡村和美長官(左から3人目)はじめ次長、政策立案統括審議官、審議官など庁幹部(消費者庁提供)

今年の「消費者月間」の統一テーマは、「ともに築こう豊かな消費社会~誰一人取り残さない2019~」です。昨年と同じテーマですが、これはまだまだテーマ通りの現状となっていないことを重視したためです。従って、言葉は同じでもテーマへの思い入れや取組への意気込みは昨年とはまったく異なります。「誰一人取り残さない」社会の構築は、SDGs(国連持続可能な開発目標)のテーマでもあり、消費者問題にも通じるものです。消費者被害の防止や消費者に役立つ情報発信など、身近な消費生活を豊かに、実り多いものとするための環境整備は、消費者行政の使命であり、改めてその重要性を5月の「消費者月間」を通して提起していきたいと考えます。

消費者庁は今年9月で満10歳です。小学4年生の年頃です。目標達成に向けて何が大切か、おぼろげながら認識できる年齢ではないでしょうか。

私は、目標達成への要件として「連携」の大切さを挙げたいと思います。SDGsの17番目の目標「パートナーシップ」です。消費者と事業者は商品・サービスを通して切っても切れない関係にあります。行政には中立・公正であることが普遍的価値として求められます。立場や、意見が違っていても、より良い社会を構築していこうという思いは共通です。それを前提とした対話による三者の連携がうまくいくとき、大きな力が発揮されます。

重視したい専門家育成と地域連携体制

IoT、eコマース、AIなどに象徴される社会全体の高度情報化は、同時にいっそうのグローバル化も促します。消費者庁は、高度情報化・グローバル化のもとに発生する消費者問題に十分対応できる専門家の育成に力を注ぐとともに…(以下続く)

(ニッポン消費者新聞5月1日消費者月間号より転載)

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