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若年者の消費者教育、都が方向性を議論 区市町村支援など提案

成年年齢引き下げに伴う若年者被害を防ぐため、東京都は5月21日、消費生活対策審議会を開き、都が取り組むべき消費者教育の方向性について議論した。中間とりまとめ案では、都に対し、「東京都版消費者教育コーディネーター」の配置や市区町村における「消費者教育推進地域協議会」設置支援などを提案したほか、消費者教育の推進にあわせてマルチ商法などの悪質事業者の取り締まり強化を求めた。

教材開発やネット発信などに注力してきた東京都。被害防止へこれまで以上の取り組みが求められる(21日、都庁にて)

都は6月中に中間まとめ案に関するパブリックコメント(意見募集)を行う方針。その結果をもとに部会と審議会で最終案の検討を行い、9月をめどに都知事に答申する。

審議会では、部会で集中検討された中間まとめ案が提示された。案では、学校数の多い都の現状を踏まえ、学校現場の意見を消費者教育に取り入れて調整していく「東京都版消費者教育コーディネーター」の配置が必要だとし、都に対し、担当する役割や配置場所の検討を求めた。

また、区市町村における消費者教育推進地域協議会の設置が5自治体、消費者教育推進計画の策定が1自治体にとどまっている(今年1月現在)と指摘。地域の消費者教育の重要な役目を果たすのは市区町村だとして、都が支援するよう提案した。

さらに、消費者教育の推進とともに悪質事業者の排除が必要だと報告。特に若者の被害が相次ぐマルチ商法やアポイントメントセールスについては取り締まりの強化を求めるなどした。

中間まとめ案について、審議会委員の木村たま代・主婦連合会消費者相談室長は「教材を作成して使用し、その効果がどうだったかまでのパッケージにして考えていくことが大事だ。教員への研修については、担当の教員だけでなく校長をはじめ他の教員も対象にしていることに賛同する」と発言。

小浦道子・東京消費者団体連絡センター事務局長は「案では消費者問題に関心のない若者について触れられているが、自分事として受け止められていないことが大きな要因だと感じる。若者の被害状況の詳細も盛り込まれているので、こうしたデータを活用して消費者教育を進めてもらいたい」と語った。

坂倉忠夫・消費者関連専門家会議専務理事は「相談窓口の認知が低く、若者への相談対応の充実化は重要。若者のコミュニケーション手段がインターネットに移る中で、企業はSNSやチャットボットなど電話以外のチャネルを広げる努力をしている。行政もSNSを情報発信に活用するだけでなく、相談分野での活用を視野にコミュニケーションチャネルをどう広げていくのか、今後の検討課題だ」と指摘した。

都は、国が活用を呼びかける教材「社会の扉」を全都立学校に広げるため、モデル3校を対象とした検証事業を行うなど、取り組みを加速させる方針。答申がまとまり次第、各施策に反映させていくとしている。

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