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古い扇風機で火災多発 「標準使用期間」目安に買い替えを

気温が上昇する6月~9月にかけて、扇風機による火災事故が多く発生しているとして、NITE(製品評価技術基盤機構)は6月27日、注意を呼びかけた。使用期間が10年以上たった古い扇風機の経年劣化事故が目立ち、火事になって死亡する事例も複数報告されていた。NITEは「シーズン毎の使い始めには異常がないか点検し、古い製品は買い替えを検討してほしい」としている。

内部部品から発火する扇風機(NITEの再現実験より)

NITEによると、扇風機の事故は昨年3月までの5年間に118件あり、そのうち96件(81%)で火災が発生。4人が死亡、15人が重軽傷を負った。また、古い扇風機による経年劣化事故が34件確認され、33件で火災となっていた。

古い扇風機は一見すると問題なさそうでも、内部の電気部品は劣化が進んでいるおそれがある。NITEが経年劣化事故34件を分析したところ、コンデンサー、内部配線、モーターの3つの部品から発火していることがわかった。特にコンデンサーの発火は22件と最も多く、注意が必要。コンデンサーはモーターを起動させるための電気部品だが、古い型式の製品には可燃性物質が封入されていて、異常が起きた際に火災となるおそれがあるという。

経年劣化事故を巡っては、兵庫県で2017年10月、モーター起動用コンデンサーの絶縁劣化が原因とみられる火災が発生。問題の扇風機は約41年使い続けたものだった。

また、佐賀県で同年8月、約47年使っていた扇風機が発火し、火事に至る事故が発生。モーターの内部配線の絶縁性能が低下してショートし、周りの樹脂部品に着火したことが原因とみられた。

こうした経年劣化事故を防ぐため、2009年4月以降に製造された扇風機には「製造年」と「設計上の標準使用期間」に加え、「設計上の標準使用期間を超えて使用すると、経年劣化による発火・けがなどの事故に至るおそれがある」との注意表示が義務付けられた。標準使用期間はメーカーや製品ごとに異なるものの、6年~10年の範囲の中でそれぞれ設定されていることが多い。

扇風機の火災事故を防ぐ主なポイントは▽製造から長期間経過した扇風機の使用は注意する▽使用を開始する前に異常がないか点検する▽事故の前兆(異音、異臭、動作不良など)を見逃さない▽使用しない時は電源プラグをコンセントから抜く――など。NITEは「標準使用期間を確認し、買い替え時期の参考としてほしい。使用中の製品にこの表示がない場合、すでに製造から十年以上が経過しているため、安全のために早めの買い替えを検討してほしい」と呼びかけている。

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