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高齢者事故、5年で36万人超が救急搬送 「ころぶ」が8割

東京消防庁

日常生活の中で起きた高齢者の事故により、2018年までの5年間に36万人以上が救急搬送されたことが東京消防庁の調べでわかった。転倒してけがをする事故が全体の約8割を占め、昨年は5万8000人以上が「ころぶ」事故で救急搬送された。高齢になるほど転倒がけがにつながっていることもわかり、同庁は「身体機能の変化について知り、事前の事故防止対策をしてほしい」と呼びかけている。

同庁管内の救急搬送データから65歳以上の事故(交通事故をのぞく)を抽出し、分析した。その結果、14年~18年までの5年間に36万5183人が救急搬送され、その数は年々増加。18年は14年比24%増の8万1952人となった。全体の4割が入院の必要がある中等症以上と診断され、2300人(0.6%)が死亡するなどした。

状況別では81.7%が「ころぶ」事故。以下、「落ちる」10.7%、「ものがつまる」2.6%、「ぶつかる」2.0%、「おぼれる」0.9%などの順。年齢ごとの人口との比較では、年齢が高くなるにつれ救急搬送される人の割合が増加していることもわかった。

昨年、5万8368人が救急搬送された「ころぶ」事故では、年齢が高くなるほど搬送される割合も増え、高齢なほどけがにつながっていた。主な事故事例は「自宅の玄関先で段差につまずいて転倒し、頭部を受傷した」(80代・重症)、「自宅の廊下で滑って転倒し、腰部をぶつけて動けなくなった 」(90代・中等症)など。

一方、「落ちる」事故では全体の5割が階段で発生。以下、ベッド、椅子、脚立や踏み台、エスカレーターの順。「ものがつまる」事故は重症度の高い事例が多く、5割以上が入院を要する中等症以上と診断された。発生原因は上位から順に「おかゆ類」「肉」「包み・袋」「ご飯」「ご飯薬剤等」となった。「老人ホームの食堂で夕食を食べていたところ、おはぎを喉に詰まらせて呼吸困難となった」(90代・中等症)、「水で薬を服用する際、誤って薬の包装シートごと飲んでしまった」(70代・軽症)などの事故が起きた。

東京消防庁は転倒防止対策として▽立ち上がる時は近くにものにしっかりとつかまる▽着替えるときは腰かけて行う▽敷居につまずかないよう体力を強化し、つま先を上げてすり足を改善する――などのポイントをあげ、「事故の実態や傾向を知り、本人・家族・地域でそれぞれができる事故防止対策を実施してほしい」と呼びかけている。

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