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【欧州】政府による食品監視が後退 消費者団体が調査

欧州消費者同盟

欧州各国の消費者団体で作る欧州消費者同盟(BEUC)は10月22日、食品関連法の運用状況に関する調査結果をまとめた。食中毒を引き起こす可能性が高い食品を中心に検査や監視件数が低下しているとし、人員や予算の削減が背景にあると報告した。

英仏独伊やオランダ、スペイン、オーストリア、ベルギーなど主要12カ国が公表している食品衛生管理状況を調べた。その結果、法執行や検査などに必要な人員や予算が減少しており、卵、牛乳、肉類など食中毒を引き起こす可能性の高い食品などの食品管理システムが低下していることがわかった。また、職務を遂行するための予算・人員不足について、担当職員の一部が警告を発していることも判明した。

BEUCは「近年、乳幼児ミルク、卵、食肉の食品スキャンダルが立て続けに起きたように、域内の食品衛生管理状況は残念なことに曲がり角に来ている。消費者の食品不信は、最終的に企業業績や経済状況に悪影響を及ぼすことになる」と警告。国によって食品管理状況にばらつきがあることに触れ、「欧州のような単一市場では食品が簡単に国境を越えて食卓にのぼる。消費者の健康を守るため、すべての加盟国が使命を果たす必要がある」と訴えた。

欧州域内では今年12月に新たな管理規則の適用が始まり、そこには、各国でばらつきのあった運用状況の報告項目の統一や罰金の引き上げ、表示偽装対策などが盛り込まれた。個々の食品事業者やレストランの衛生管理状況を公表することも可能となったが、義務ではなくあくまでも任意。BEUCは「一部の国が前向きに検討しているが、消費者が選択できるようすべての加盟国が行うべきだ」と主張している。

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