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【米国】電子看板がスマホを追跡 データ分析し広告を表示

コンシューマーリポート

町中に設置されている電子看板(デジタルサイネージ)が通行人のスマートフォンのデータを収集し、購買データなどから最適な広告を表示し始めていることが11月20日、米消費者情報誌コンシューマー・リポートの報告でわかった。ウェブサイトのターゲティング広告の手法が屋外の電子看板にも波及した形。同誌は「ウェブサイトはブラウザを閉じればよいが、屋外の広告は避けることができない」と指摘している。

広告業界関係者によると、こうした電子看板は昨年から登場し始め、本格普及に向けた成長段階にあるという。看板の背後に携帯端末の識別番号を感知する装置があり、性別や年齢、人種、収入、趣味、購買データなどを収集し、最適な広告をリアルタイムで表示する仕組み。日々のデータから通行人を予測することも可能で、学校帰りの子どもを迎えに来た保護者をターゲットとした広告を平日の午後3時に表示する、といった機能も備えているという。

これまでの看板広告業界はクライアントを奪い合う競合関係にあったが、各社が協業して電子看板がネットワーク化すると、行く先々の看板が個人を追跡して最適化した広告を表示するようになるという。

この市場への新規参入が相次いでいて、コンシューマー・リポートはグーグルが屋外型広告に関する実験を始めたことを把握している。専門家は「自宅ではブラウザを閉じれば広告を見ずにすむが、公共の場所では広告を避けることができない。現在、スマートフォンの位置情報を完全にブロックする実用的な方法もない」と指摘する。

記事を執筆したコンシューマ・リポートのトーマス・ジャーマン氏は古くなったサムスン製ギャラクシーの売却を検討しており、この数週間、高値で買い取ってくれる業者を検索していたという。すると帰宅中、バス停に設置された電子看板にeBayの中古スマホを宣伝するポップアップ広告が表示されたと報告している。

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