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【米国】巨大テック、新型コロナのデマと前例なき戦い

コンシューマーリポート

米消費者情報誌コンシューマーリポートは3月11日、インターネット上に拡散する新型コロナウイルスのデマ情報を巡り、巨大テック企業が前例のない取り組みをおこなっていると報告した。

同誌によると、ウェブサイトやSNSでは誤った健康アドバイス、人種差別をあおる情報、詐欺商品の宣伝などが急速に拡散。中にはウイルスを生物兵器になぞらえた陰謀説や漂白剤を使った危険な治療方法なども登場している。

これに対し、アマゾン、フェイスブック、グーグル、ツイッターなどの巨大テックがデマの拡散防止に向けた前例のない取り組みを実施。同誌が「全面戦争の様相を呈している」と報告したほか、ネット上のデマを研究するニューヨーク大学のポール・バレット教授が「(誤解を招く政治的情報が拡散した)2016年の米大統領選挙を教訓とした取り組みをはるかに上回る対応がおこなわれている」などと指摘した。

例えばグーグルは、コロナウイルスに関する検索結果の上位に信頼性のある最新ニュースを表示。その下に世界保健機関(WHO)や米疾病対策センター(CDC)のサイトを並べ、さらに公衆衛生機関の関連サイトを続けて表示するなど、デマへのアクセスを減らす取り組みを実施している。

一方、フェイスブックは投稿内容の真偽を第三者がチェックし、ニュースフィードからデマを排除するという拡散防止策を実施。新型コロナに便乗した広告の禁止措置もとった。

グーグルは過去1カ月半の間に数千件の広告をブロック。アマゾンは新型コロナの予防や治療をうたう100万点以上のアイテムを削除したという。

ただ、巨大テックの取り組みにも限界があるといい、規制をかいくぐる手法がすぐに編み出され、デマの拡散や便乗商法が依然として続く。コンシューマーリポートの調査によると、アマゾンではウイルス関連の不正な製品が販売され、SNS上には悪質なデマが拡散、通販モールでは便乗値上げが横行している。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは膨大なデマ情報を克服するAIツールの開発を進めていると発言したが、実現はまだ先になるという。

また、巨大テックの強硬策に対するユーザーの反発を懸念する声もあがった。スタンフォード・インターネット観測所(Stanford Internet Observatory)のレニー・ディレスタ氏はコンシューマーリポートに対し、「情報が検閲されているとの認識が生まれ、プラットフォーマーが真実を隠そうとしているとの陰謀説が生まれることを若干危惧している」とコメント。巨大テックに不満の矛先が向かう可能性について言及した。

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