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おうちキャンプ、火災や一酸化炭素中毒に注意 消毒後の花火も

新型コロナウイルスの影響で自宅でキャンプ気分を味わう「おうちキャンプ」が人気となる中、NITE(製品評価技術基盤機構)は8月27日、カセットコンロやガストーチなどのキャンプ用品による火災ややけどに注意を呼びかけた。アルコール消毒後に花火をするなどして、衣服に引火する事故も想定されるとして、「キャンプ場とは異なり、自宅やベランダは狭い上、周囲に可燃物が多いので注意してほしい」とアドバイスしている。

NITEによると、今年3月末までの5年間に報告されたキャンプ用品の事故は183件で、7人が死亡、6人が重傷を負った。全体の66%にあたる122件で火災が起きていた。

事故が多い製品は「カセットコンロ」65件、「ガストーチ」54件、「携帯発電機」23件、「ポータブル電源」14件、「懐中電灯」14件など。カセットコンロでは「風よけとしてレンガで囲った状態で使ったため、ボンベが加熱されて破裂した」「カセットボンベの接続部分が破損した状態で無理に取り付けたため、漏れたガスに引火した」などの事故が発生。ガストーチではガスボンベの取り付け不良によるガス漏れなどの事故が起きていた。

炭火起こしに使うガストーチは傾けすぎると異常燃焼が発生する。傾ける角度は45度までが目安(NITE再現実験より)

一方、死亡事故が起きた製品はカセットコンロ(3人)と携帯発電機(4人)。カセットコンロの事故はいずれも火災が原因で、携帯発電機の事故は一酸化炭素中毒によるものだった。

キャンプ用品の事故の多くはカセットボンベに関連した事例だといい、NITEはカセットボンベの接続部分にごみが付着していないかを確認し、取扱説明書に従い、ガス機器に正しく装着するよう呼びかけた。装着後に異音や異臭がした場合はガス漏れが起きているおそれがあるため、直ちに使用を中止することが重要だとした。

また、おうちキャンプで想定される事故として、アルコール消毒剤の引火事故に注意を呼びかけた。消毒後すぐに花火やろうそくなどの火の気に近づくと蒸発したアルコールに引火し、服の袖などに燃え移るおそれがあるという。

キャンプ用品を巡っては、今年4月以降もNITEに13件の事故が報告されている。内訳はガストーチが7件、カセットコンロが3件、携帯発電機、ポータブル電源、ガスボンベがそれぞれ1件ずつ。

NITE製品安全センターの向井祐太さんは「正式なキャンプ場は消火設備がある程度整っている場所が多く、一般家庭とは異なり、大きな火が出た場合でも対策ができる。一方、自宅やベランダでのキャンプは、狭い空間や周囲に可燃物の多い環境で行うため、事故が起こるリスクが高まる」と指摘し、安全に十分配慮しておうちキャンプを楽しむよう注意を呼びかけた。

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