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消費者団体がアクリルと毛の違いを検証 マフラーなどテスト

冬のニット素材としてアクリルを使った製品が多く販売されていることから、北海道消費者協会は天然素材の毛と比較する商品テストを実施した。

マフラーとストールを用いて、保温性や吸湿性、耐洗濯性などを検証した結果、アクリルは価格が安い、乾きやすい、縮まないという取り扱いやすい特徴があったが、静電気が起きやすい、蒸れやすいなどのデメリットも確認された。一方、毛は洗濯すると縮みやごわつきが発生するものの、高い吸湿性と安定した保温性を合わせもつ機能性が優れていた。同協会は「特性を踏まえて購入の際の参考にしてほしい」とアドバイスしている。

テストしたマフラー・ストール。上段がアクリル、下段が毛(北海道消費者協会提供)

テストしたのは市販のアクリル製ストール・マフラー4銘柄と毛のマフラー3銘柄。購入価格はアクリルが平均1620円、毛が平均2953円と毛の方が高額だった。

テスト結果によると、吸湿性(湿気の吸いやすさ)はアクリルが平均0.7%、毛は平均11.6%となり、約17倍の開きがあった。

保温性(暖かさ)はアクリルが平均53.8%、毛は平均62.7%となり、毛の保温率が若干高めだった。また、毛はすべての銘柄が60%以上あり、ばらつきが少なかったが、アクリルは44.4%~63.6%とばらつきが認められ、銘柄により差があった。

ピリング(毛玉のできやすさ)はアクリルと毛に大きな差はなかったが、洗濯後の乾燥性(乾きやすさ)と耐洗濯性(洗濯のしやすさ)、風合いの変化については結果に差がみられた。

洗濯後、乾燥率95%以上になるまでに要した時間はアクリルの平均83分に対し、毛は平均140分。毛はアクリルの約1.7倍乾くのに時間がかかった。また、アクリルは洗濯10回後も寸法変化がほとんどなかったが、毛は洗濯回数が増えると縮みが大きくなった。風合いについても、アクリルは洗濯後の変化がなかったのに対し、毛は若干のごわつきが発生し、風合いが変化した。

静電気については、アクリルは洗濯1回後からたたむ際にぱちぱちと静電気が発生したが、毛は発生せず、吸湿率が低いと帯電しやすいことが原因と考えられた。

これらの検証を踏まえ、同協会は「アクリルは価格が安い、軽い、洗濯しても縮まない、風合いの変化がない、乾きやすいという取り扱いやすい特徴があった」と報告。一方、「合成繊維であるため、ほとんど吸湿性がなく、高い吸湿性を持つ毛と比較して静電気が起きやすい、蒸れやすいなどのデメリットがある」とアドバイスした。

毛は洗濯後の縮みやごわつきが発生するものの、「高い吸湿性と安定した保温性を合わせもつ機能性が優れていた」と報告した。同協会はそれぞれの特性を踏まえて購入の参考にしてほしいとしている。

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