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巣ごもり消費で宅配伸長 全国生協、過去最高益へ

日本生活協同組合連合会(日本生協連)は10月23日、2020年上期(4~9月)の事業状況を報告し、新型コロナ禍で宅配事業が二けた成長を続けていることを明らかにした。1人当たりの利用高も増加して配送効率が向上、「どの生協も過去最高益の状況だ」という。冷凍食品やマスク・除菌関連製品、児童書、紙芝居などが好調で、粉ものやパスタは今でも製造がひっ迫するとした。コロナを機に新規加入者も増加し、今後は利用者の定着を図り成長持続を目指す考えだ。

オンライン記者会見で、全国生協の2020年上期の事業状況とコロナ禍の取り組みを報告する藤井喜継専務理事(23日)

藤井喜継専務理事がオンライン会議システムZoomを通して報告した。

藤井専務によると、2月の学校一斉休校以降、注文が急増。4月度、5月度は店舗、宅配ともに売上高が前年比で二けた成長を達成した。店舗の売上高はその後、落ち着きを見せはじめ、直近9月度は前年比103.5%となったものの、宅配は引き続き好調を持続。9月度も113%と前年比二けた成長を続けているという。

WEBを通じた新規加入も急増し、19年度の38万人に対し、今期は3月~8月までの6カ月で56.2万人を獲得。9月度も前年比2倍程度の伸びで増えているとした。

売れている商品は冷凍食品、加工食品、マスク・除菌関連、児童書、紙芝居など。寝具や園芸なども特需となり、藤井専務は「ステイホームをきっかけに家族で楽しむ製品が好調な売れ行きとなった」と分析。特にホットケーキミックスやお好み焼き粉、たこ焼き粉などの粉もの、ランチとして楽しめるパスタなどは「今でも製造がひっ迫している」と説明した。

各生協は過去最高益を達成する見通し。藤井専務は「これまで1人当たりの利用高は微減傾向だったが、(コロナを機に)利用高が増加し、宅配事業が非常に効率のいい事業形態になっている」と語った。

次年度については、特需となった今年度ではなく、19年度を指標として計画を練る方針。「新規加入者以外に利用を再開した組合員も多く、コロナを機に利用してくれた人を定着させる取り組みを展開し、次年度以降の成長に結び付けたい」とし、店舗事業は19年並み、宅配事業は19年比105%の成長を見込む。

各地生協ではコロナ禍に暮らしを守る様々な取り組みを展開しており、コープこうべ店舗では高齢者専用買い物時間を設定し、重篤化しやすい高齢層の感染防止対策や不安払しょくに努めたほか、福井県民生協では学校休校対応としてお子様限定弁当の宅配事業を行うなどしている。

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