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【英国】オンライン詐欺被害者、多くが精神的苦痛 後遺症も

英国の消費者団体Which?

英国の消費者団体Which?は3月10日、オンライン詐欺の被害者が金銭面だけでなく精神的にも大きなダメージを受け、後遺症として苦痛を引きずるケースがあると報告した。同団体は政府にオンライン詐欺の撲滅を求めるとともに、被害者らに専門的なケアを受けるよう呼びかけた。

Which?は研究論文や相談事例などの調査を実施。その結果、警察当局が運営するサイバー犯罪相談窓口「アクションフラウド(Action Fraud)」には深刻な精神的苦痛を受けたとみられる相談事例が週に300~350件程度寄せられていた。さらに昨年1月~11月、ショックのあまり「命を絶つ」ことを訴える被害相談が241件あり、相談員が警察や救急に出動要請をしなければいけない事態も発生していた。

また、欧州委員会の調査結果によると、詐欺被害者の24%が経済的なダメージを受け、それを大きく上回る79%の人が精神的な苦痛を経験したと回答。詐欺に遭遇した人の57%は金銭をだまし取られていなくても精神的・肉体的な苦痛を経験し、詐欺に遭うこと自体が重大な苦痛をもたらすことがわかった。

80歳代の男性は、検索サイトの上部に表示された偽の広告をクリックしたことから投資詐欺に巻き込まれ、約5万ポンドをだまし取られた。男性は詐欺師とも会話をしており、「損失額が大きく、私だけでなく家族も動揺し、今でも苦痛を感じている。長い間、夜も寝れなかった」と報告。Which?は「詐欺がもたらす影響は深刻だ。被害者は自信を失い、ほかの人を信頼する心も破壊される」と訴えた。

Which?は政府にオンライン上の詐欺的コンテンツ対策に乗り出し、オンラインプラットフォーマーに法的責任を負わせる法案を成立させるよう要求。精神的な後遺症に苦しむ被害者には専門窓口を紹介し、ケアを受けるよう呼びかけた。

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