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【米国】家禽の食中毒防止へ規制強化要望 食肉大手と広域連携

鶏肉

サルモネラ菌に関する規制や基準が時代遅れで、米政府の食中毒対策が効果を発揮していないなどとして、食肉大手4社と消費者・科学者4団体は連名で9月1日、農務省に対し、最新の科学的知見に基づく規制強化を求める要望書を提出した。消費者団体が行ってきた要請運動に大手企業が加わり、「前例のない広域連携」になったという。

要望書に名を連ねた大手4社はバターボール、パーデュー・ファームズ、タイソンフーズ、ウェイン・ファームズ。消費者・科学者団体からはこれまで通り、公益科学センター(CSPI)、アメリカ消費者連合(CFA)、コンシューマー・リポート、ストップ・フードボーン・イルネスの4団体が参加した。

米国では、サルモネラ菌とカンピロバクター菌による食中毒患者が毎年300万人以上にのぼり、推計60億ドル以上の経済損失が発生している。これらの食中毒の発生率は、政府が対策を取っているにもかかわらず20年間も高水準で推移しており、消費者・科学者団体は「現行の規制システムが消費者を保護するのに十分な効果を発揮していない」、「食中毒対策における科学的技術は飛躍的に進歩しているが、農務省の食品安全規則がそれに追いついていない」などと指摘し、改善や刷新や求めていた。消費者団体らは今年初めにも要請書を提出していたが、今回は新たに大手企業も参画し、農務省に強く行動を求める形となった。

CFAによると、サルモネラには2500種を超える血清型があるが、食中毒を引き起こすのはその一部。しかし現行の検査規則は危険な血清型とほぼ無毒な血清型とを区別しておらず、「効果的な監視、対策、効果測定ができない」と指摘した。また、CSPIはEU(欧州連合)が最新のリスク管理手法を採用し、家禽食中毒の発生率を大幅に低下させていることを示し、「米政府は目標を達成できておらず、新たなアプローチが必要なのは明白。我々消費者、科学者、家禽大手は連携して、農務省を支援する用意はできている」と呼びかけた。

農務省食品安全検査局(FSIS)は8月26日、サルモネラ食中毒を減らすための新たな指標の導入計画を発表しており、各団体は今後の動向を監視し、中身を精査していくとしている。

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