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必要なカタログのみ配布 生協、AIで効率化 5割削減達成

日本生活協同組合連合会は10月26日、オンライン記者会見でDX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトの進捗状況を発表した。AI予測による宅配カタログの配布効率化に関する検証実験では、配布部数を50%削減しながら利用は減少することなく、ほぼ前年並みを達成したと報告。事業企画・デジタル推進本部の茂木伸久さんは「必要なカタログを必要な組合員にきちんと提供できていることを実証できた。紙の削減は組合員、生協、環境にとって良い取り組みだ」として、地域生協に広げていく考えを示した。

DX-CO・OPプロジェクトの進捗状況を報告する日本生協連事業企画・デジタル推進本部の茂木伸久さん(写真はWEB上の画像)

これまで生協は組合員に同じカタログ、同じ情報を等しく提供することを重視し、宅配時に紙のカタログを数冊届けてきた。しかし、消費者のニーズが多様化しているほか、生協の事業が拡大して取り扱う商品数も急増するなどし、組合員から「必要のないカタログは省いてほしい」「生協の事業をきちんと運営していくため、環境に配慮して紙を節約したほうがいい」などの意見が寄せられていた。

こうしたニーズの変化に対応するため、DXプロジェクトでは今年8月、コープ東北サンネット事業連合会で検証実験を実施。注文履歴をもとに週ごとに組合員がどの商品を必要としているかをAIで予測し、一部のカタログについて配布部数を50%削減してみた。その結果、配布対象者を半分に減らしても利用は前年比97~98%を維持し、必要なカタログを必要な人に提供できていることが実証できたという。

茂木さんは「生協は皆が必要な商品を皆で購入し、良いものをより安く手に入れようという相互扶助組織としてスタートしたため、同じ情報を皆に等しく届けようという考え方があった」と振り返る一方で、「必要のないカタログを手元に届けないというやり方は、組合員にとっては利用しやすさにつながり、生協にとってはコスト削減が可能になる。紙の使用削減によって間接的に環境負荷の軽減にもつながる」と強調。この取り組みを地域生協に広げたいと語った。

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