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【英国】アマゾンから謎の小包 4%がブラッシング詐欺被害

英国の消費者団体Which?

英国で、注文していないのにアマゾンから小包が届く「ブラッシング(brushing)」詐欺の被害が相次いでいる。商品代を請求されることがないため実害は発生しないが、一度届くと数カ月に渡り、次々と小包が送り付けられる事例が報告されている。消費者団体Which?の調査によると、1839人のうちおよそ4%の人が「本人もしくは家族に謎の小包が届いたことがある」と回答。全国規模で換算すると、100万世帯以上が被害に遭う可能性があった。ブラッシング詐欺に関する調査は珍しく、Which?は同詐欺にスポットを当てた初の独自調査だとしている。

Which?によると、ブラッシング詐欺を行っているのは多くの場合、中国に拠点を置くアマゾン出店事業者。販売実績と製品レビューを人為的に増やすためのマーケティング詐欺だという。

主な仕組みは以下の通り。アマゾン出店事業者は自らの評価を上げるために、架空のアカウントから自社サイトの高額商品を注文する。そして、注文を受けた商品ではなく、別の安価な商品を適当な住所に発送して、販売実績とレビューに書き込む権利を不正に取得しているという。事業者は発送料金や梱包費用、送り付ける商品などのコストが発生するが、中国・深センの物流関係専門家によると「アマゾンで高評価を得る価値は高く、これらの悪質事業者は広告代やビジネスを成功させるマーケティング費用ととらえている」という。

決済手続きが完了しているため被害者に実害はないものの、次々と荷物が届く事態になることも多い。Which?の調査に協力した元教師の女性のケースでは、昨年10月にアマゾンの小包が届き始め、今年5月までに合計50個に増えた。中身はすべて安価で役に立たないものばかりで、子ども用のワイヤレスカラオケマイク、子ども用自転車グローブ、つけまつげ、ギフト用包装紙、歯ブラシのヘッド、シャワーホースなど。最後に届いたのはチョコレート型だった。アマゾンに報告したところ「保管しておくか処分してもよい」との返事で、すべてチャリティーショップに寄付したという。

深センの専門家によると、ブラッシング詐欺は10年以上前から横行しており、近年はコロナ禍のオンライン通販の成長に伴い活発化。出店事業者から業務を請け負うエージェントも存在し、広く普及し組織的に行われているという。

Which?は「レビューと販売実績の信頼性は重要だ。アマゾンはブラッシング詐欺の事例を徹底的に調査し、消費者をだまそうとする悪意のある事業者に強く行動する必要がある」と指摘している。

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