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【米国】スーパーと食品大手の蜜月にメス 当局が商慣習を調査へ

公益科学センター

食品大手が自社商品を有利な場所に陳列するため、スーパーなどの小売業者に多額の金銭を支払う「共同マーケティング契約」(CMA、cooperative marketing agreement)について、米連邦取引委員会(FTC)が調査に乗り出している。調査を要望していた非営利団体・公益科学センター(CSPI)は1月3日、FTCの行動を称賛するとともに、迅速な調査結果の公表と厳正な執行措置を要請した。

CSPIによると、スーパーと食品メーカーとの間で結ばれるCMA契約では、商品の卸売り価格、販売価格、陳列場所、販促方法などが取り決められ、マーケティング費用と称して多額の金銭がスーパーに支払われている。さらに特定の商品カテゴリーにおいては、契約を勝ち取った食品メーカーが独占的権利を持ち、自社製品だけでなく他社製品の配置についても自由に決定できるという。

CSPIは「スーパーの目立つ場所に不健康な飲料やスナックが陳列される背景に、この契約がある」と指摘。消費者の健康を害するだけでなく、中小食品メーカーが排除され、公正な競争を脅かしていると問題視してきた。同団体は昨年2月にFTCに調査を要請。FTCは昨年11月29日、コロナ下の品不足と価格高騰を理由に、小売り・卸・メーカーなど大手9社に対し商取引に関する資料の提出を求めた。

その中には、受け取ったマーケティング費用、宣伝費用、卸売り価格、出荷先の割り振りなどが含まれており、リナ・カーンFTC委員長は会見で、「サプライチェーンの混乱の背後にある原因を突き止め、競争を阻害している取引手法について明らかにする必要がある」「品不足の際に、どの店舗に優先的に商品が割り振られているのか。反競争的慣行が行われていないかを注視する」などと語った。

報告を求められたのは小売り大手のウォルマート、アマゾン、クロ-ガー、卸大手のC&S Wholesale Grocers、Associated Wholesale Grocers、McLane、食品大手のP&G、タイソンフーズ、クラフト・ハインツの9社。45日以内に回答する必要があり、期日を迎える。

CSPIは数カ月以内に調査結果の公表するようFTCに求めている。

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