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米国で粉ミルク不足長期化 当局が調査へ 消費者から意見募集

米連邦取引委員会

米国で深刻化する乳児用粉ミルク不足が解消されず、買い求める保護者を狙ったオンライン詐欺が横行している問題で、米連邦取引委員会(FTC)はこのほど、公的な市場調査に乗り出すことを決めた。消費者からの意見を募集し、詐欺や便乗値上げの実態を把握するほか、小規模小売店における流通状況、メーカーの製造能力や市場独占の影響などを徹底的に調べる。

粉ミルク不足は細菌汚染を指摘された大手メーカーが問題の工場を閉鎖し、製品回収を開始した今年2月から始まった。在庫がひっ迫する中、新型コロナ感染症や物価高騰、サプライチェーンの混乱なども加わって深刻化し、現在も収束の兆しが見いだせない状況だ。

FTCは粉ミルク不足が一向に改善に向かわないことに加え、子どもを持つ家族の不安が増していることを危惧。横行するオンライン詐欺による消費者被害も相次いでいることから、公的調査に乗り出すことを決めた。意見募集を実施し、消費者から詐欺の経験や転売事業者による便乗値上げ品の購入経験などを収集。小規模小売店を対象とした入荷状況調査、粉ミルクメーカーの事業者数や製造能力、供給体制、設備投資状況なども把握する。さらに、参入障壁や規制の影響、大手製造・流通事業者による圧力的な取引についても調査する。

FTCは米農務省と協力して情報分析し、市場独占の解消を含め、政策変更が必要かを検討するという。リナ・カーンFTC委員長は「我々は長期化する粉ミルク不足の監視を続けており、詐欺に対しては法に基づく措置を行うことを消費者に約束する。公的調査では、なぜ不足しているのか、供給を妨げている原因は何なのかを徹底的に洗い出し、生命維持に欠かせない粉ミルク市場の回復につなげる」とコメントしている。

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