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森田満樹さんが添加物不使用表示ガイドライン解説 都内学習会で

都内18の消費者団体でつくる東京消費者団体連絡センター(中野区)は7月26日、食品添加物をテーマとしたオンライン学習会を開催した。消費者庁が3月30日、「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を公表したことを受け、改めて食品添加物の安全性と表示について知識を深める場とした。消費者団体や生協など22人が参加し、活発な質疑応答が行われた。

講師は一般社団法人「Food Communication Compass」代表で、消費者庁「食品添加物表示制度に関する検討会」(2019年~2020年)の委員として不使用表示ガイドラインの土台作りに携わった森田満樹さん。1時間の講演で食品添加物の安全性や規制、指定のしかた、表示に至るまでわかりやすく解説した。

オンライン学習会で添加物の安全性や規制、話題の「添加物不使用表示ガイドライン」などを解説する森田満樹さん(7月26日、写真はWEB上の画像)

特に不使用表示ガイドラインについては実際の表示例を示しながら説明する一方で、「わかりにくい部分があり誤解を生んでいる」と指摘した。ガイドラインは食品表示基準の表示禁止事項に該当するおそれがある表示として10類型を示したもの。森田さんは「類型に当てはまるから直ちに違反というわけではなく、消費者を誤認させないように事業者が気を付けるためのもの。無添加・不使用表示を一律に禁止していないが、すべて禁止であるかのような報道があった」と語った。

また、表示禁止事項に該当するかどうかは「ケースバイケースで全体として判断される」と説明。「景品表示法と同じような考え方で、消費者を著しく優良または有利と誤認させるかどうかは全体でみるということ」と解説した。

ガイドラインは2年程度(2024年3月)の間に表示の見直しを求めており、食品事業者が現在、自己点検を進めている。森田さんは「企業も類型に該当しないよう強調表示をなくすか、工夫して、『製品の赤い色は、トマト由来のものです』といった記載になっていくのではないか。最終的には企業の考え方、コンプライアンスによることになるが、本ガイドラインが気づきとなって、消費者の誤認を招く強調表示を改めてほしい」と語った。

質疑では参加者から「数年前トランス脂肪酸が問題視されたが、最近は聞かない。こういう事にも流行り廃りがあるように思える」、「容器包装の表面から無添加表示がなくなるのなら裏面の表示をもう少し大きくできないか」、「日本の添加物使用基準がEUなどに比べて甘いのではないか」など多数の質問や意見が出された。学習会の最後、多摩のくらしを考えるコンシューマーズ・ネットワークの五十嵐ちづ子さんは「私たちは消費者に伝えていく立場。今回の学びをそれぞれの地域で共有化していこう」と呼びかけた。

(本紙「ニッポン消費者新聞」8月1日号より転載)
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