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電気ストーブ・こたつの発火事故増加 接触とつけっ放しに注意

火を使わないため一見安全そうに見える電気暖房器具だが、発火事故が増加傾向にあり、死亡事故も毎年のように発生しているとして、NITE(製品評価技術基盤機構)がこたつと電気ストーブの取り扱いに注意を呼びかけた。製品の不具合による事故が多いものの、全体の2割強は消費者の誤使用・不注意が原因。衣類などの可燃物がヒーターに接触する「ゼロ距離火災」や、電源を切らずにその場を離れる「ほったらかし火災」などが起きていた。

NITE製品安全センター製品安全広報課の山崎卓矢課長は「こたつや電気ストーブは暖を取るための製品。発火するほど危険ではないと思いがちだが、実際に事故が起きている。洗濯物を乾かすなどの誤使用や、つけっ放しにするなどの不注意には十分に気を付けてほしい」と語った。

こたつの中で洗濯物を乾かすのは危険。ヒーターに接触して衣類に熱がこもり、最悪の場合、発火に至るという(NITE事故再現実験映像より)

NITEによると、2017年度から21年度の5年間に報告された「こたつ」と「電気ストーブ」の事故は合計347件。そのうちの284件(82%)が発火事故で、19年度以降、増加傾向にあった。被害状況別では、周囲の製品や家屋が焼損するなどの拡大被害が174件あり、火災となって死者が発生する事故も26件あった。死亡事故の内訳はこたつが4件、電気ストーブが22件だった。

事故原因の多くは製品の不具合などによるもの。こたつが6件、電気ストーブが143件となり、リコール対象製品が使用中に発火するなどの事故が起きていた。

一方、全体の2割強が消費者の誤使用・不注意によるもの。こたつ布団や洗濯物をヒーターに接触させたり、近づけすぎたりして発火する事故が多発していたほか、電源コードや電源プラグがショートして発火する事故も目立った。

大阪府で2019年1月、こたつ布団が焦げる事故が発生。歩行の邪魔にならないよう使用者がこたつ布団をこたつの中に押し込んだため、ヒーターユニットに接触して布団が焦げたという。また、東京都で2020年1月、電気ストーブによる火災が発生。電気ストーブの前に衣類を積み上げたまま外出したため、接触または放射熱により出火したとみられた。

こたつでは、こたつ布団のほか洗濯物や座椅子、座布団などの発火事故が発生。電気ストーブでは、洗濯物のほか近くのカーテンが発火した事例や、ペットやロボット掃除機が可燃物を運んできて火災になった事例もあるという。

死亡事故では80歳以上の高齢者の被害が多く見られた。NITEは「使い慣れから生じる誤使用で事故が起きていたり、発火した際、身体的な衰えで逃げ遅れたりしている可能性がある」と指摘。使用上の注意をよく確認し、正しく使用するよう呼びかけた。

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