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過去の教訓活かせ 細やかな被災者救済制度導入を 秦好子さん🔒

エコ・防災コンサルタント、主婦連合会常任幹事 秦好子さんインタビュー
◎横浜市初の女性消防職員 平時にこそ防災対策育むべき

「年齢を重ねてもなかなか丸くなれません。それが良いのか悪いのか、性分でしょうか。気になる問題があると、自分の目で見て聴いて納得できるようにする、気づいたときはきちんと言う、今後もそのように私なりの意見を発信していきたいと思います」

行政職員として防災活動に携わってきた秦好子さん。やるべきこと、やれることを実行するのが公務員、でも、やれるのにやらない風潮があることも実感してきた。「防災行政」にもその傾向が目立つという。秦さんは横浜市初の女性消防職員。男女共同参画の重要性を痛感している。ただ、「女性だから、男性だから」という論点ではなく、「人として、人間としての尊厳」を活動の前提に位置付けてきた。そのように取り組んできたボランティア活動の範囲は広い。

「背中を押されたのは、京都大学元総長・山極寿一先生の、檻の中のサルの実験を知ったときでしょうか。空腹のサルを檻に入れ手の届かない檻の外にバナナを置く。檻の外には別のサルを配置する。檻のサルはバナナを取ろうと懸命に手を伸ばすけど届かない。それを見ていた外のサルはどうしたか。木の枝を拾って中のサルにバナナが取れるようにと渡したのです」

地域住民に生きる力へとつながる枝というツール(知恵)を提供することこそ公務員の役割ではないか、そう思ったという。秦さんがボランティア活動へとまい進するきっかけになった実験だ。だが、自己の利益を優先することに恋々とする政治家・公務員のモラル低下が報道されるたびに、サルにできてなぜ人間にできないのか、そんな思いも抱いてきた。

「災害被災者の救済遅れを考えると、丸くなれないのは当然かも知れません」

元公務員としての矜持ものぞかせる。

「被災された当事者の目線をどのように具体的な救済策として反映させるのか。阪神・淡路、東日本、熊本震災といった深刻で悲惨な大地震や、台風、暴風雨、雪害など、大災害の多い日本でこそ重大課題のはずです。でも、防災の中でも被災者救済政策が圧倒的に遅れているのが実態ではないでしょうか。過去の教訓を対策に活かすこと、減災対策は平時にこそ育み、培われるべき……(以下続く)

(本紙2月1日号「消費者問題はいま―提言」より一部転載)

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