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手ごわいヒスタミンをキャラ化して啓発 食中毒予防へ 東京都

家庭だけでなく保育園や学校などで大規模な食中毒が発生しているヒスタミン食中毒について、東京都が予防啓発を強化している。視覚的でわかりやすい情報提供をめざし、都の食品安全情報サイト「食品衛生の窓」のコンテンツを改訂したほか、ヒスタミンの特長が一目でわかるキャラクターを作成しリーフレットに起用するなどした。リーフレットは保健所の窓口で配布するほか飲食店などへの監視指導に利用していく。

東京都が作成したヒスタミン食中毒予防リーフレット。視覚的でわかりやすい情報提供をめざした

キャラクターはヒスタミン食中毒の症状や原因物質などを模したもの。2月13日に開かれた東京都食品安全情報評価委員会でリーフレットとともにお披露目された。体の模様は症状の一つである蕁麻疹を表し、腹部の時計は時間がたつと発症すること、体の左半分と右半分の違いはアミノ酸のヒスチジンからヒスタミンに変化することを表現した。エラやヒレは主な原因食品である赤身魚を表したという。

リーフレットを作成した都健康安全研究センターは「以前、食中毒起因物質の特徴をイラスト化して情報提供を行ったところ、わかりやすいと好評だった。これに倣いヒスタミンのキャラクターを作成した」と報告した。

ヒスタミン食中毒は全国で毎年発生しており、2020年には全国で13件、患者219人、都で3件、患者47人が出ていた。一方、都の17年度調査では、ヒスタミン食中毒を聞いたことがある人は45.6%、原因・症状まで知っている人は7.8%にとどまり、昨年2月の委員会で簡潔でわかりやすい情報発信が提言されていた。

新たなリーフレットについて、北嶋聡委員(国立医薬品食品衛生研究所・安全性生物試験研究センター毒性部長)は「ヒスタミン食中毒が一筋縄ではいかない最大の理由は加熱しても壊れないこと。基準値を設定できない物質でもあり、被害が大きくなりがちだ。“煮ても焼いても食べられない”という典型例であり、そのことを強調して啓発してほしい」とコメントした。

リーフレットはA4判カラー1枚(表面のみ)とコンパクトにまとめられている。都「食品衛生の窓」から閲覧できる。

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