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易学業界が霊感商法防止に向け研修会 消費者庁・国セン招き

◎関連5団体が消費者契約法のポイント学ぶ

旧統一教会による消費者被害の深刻化を背景に消費者契約法が昨年12月、霊感商法規制関連分野を中心に再改正され、1月から施行された。これを受け、伝統的な易学の研究・普及に取り組む占い関連5団体が4月13日、消費者庁及び国民生活センター担当者を招いて「研修会」を開いた。当日は消費者庁から改正法のポイントが説明され、国民生活センターからは占いサイトのトラブル例が紹介された。参加した業界関係者は「占いはお金儲けとは違う」「ツボなどを購入することが開運につながるわけではない」とし、被害発生の多いネットサイト運用業者の悪質行為を批判した。

今年1月に施行された改正消費者契約法のポイントは、消費者や親族に関する重要事項について、霊感などを告知し、不安を煽ったり、今現在の不安に乗じて勧誘したりする行為などを消費者の取消権の対象範囲へと拡大させた点。また、取消権の行使期間を現行の1年から3年に、契約締結時からは現行5年を10年へと伸ばしたことも注目点。

同法については1年前の通常国会で、退去困難な場所へ連れていった場合の取消権拡大や損害賠償免除条項の無効導入などを盛り込んだ改正法が成立、その施行は今年6月から。今回のような、後から改正された法律が、先に制定された法律よりも前に施行されるのは異例。それほど旧統一教会による霊感商法関連事件が重大だったことを示す。

当日の研修会は、「易学」「占い」などの研究・実践活動に長年取り組んできた業界団体が消費者庁および国民生活センターから改正法の説明を受け、消費者被害防止を目指すことを目的とした。会場は衆議院第一議員会館。参加したのは、(公社)日本易学連合会、(一社)日本占術協会、(一財)東洋運勢学会、京都府易道協同組合、それに易学の適正化などを推進する(一社)中央政策研究所。計5団体の代表者らが集った。

研修会では消費者庁制度課の担当者から改正法のポイントが説明され、国民生活センター相談情報部からは、増加・深刻化している占いサイトの消費者トラブルについて、事例などが報告された。国民生活センターによると、占いサイトに関する消費者相談は、2020年度に年間2000件を超え、23年度は2333件。この中には、占いアプリ、占いサイト契機の電話占いなども含まれる。ネットトラブルが急増し、平均既支払い金額は18年度の約80万円から現在は108万円に増加しているという。

研修会に参加した業界団体からは「占いサイトでは安易な占いが目立ち、消費者をだます事業者が多い」「易学や占いは本来お金儲けとは異なる」「お客様の幸せを願うことが本筋」「開運も努力を前提とする。そのツボを買えば開運になるなどという説明はおかしい」などの意見があがった。これら関連団体は団体加盟事業者に研修会での成果を周知していくとしている。

(本紙「ニッポン消費者新聞」5月1日消費者月間特集号より転載)
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