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【米国】床に落ちた食品、5秒以内なら安全? 消費者団体が検証

コンシューマーリポート

床に落とした食品を5秒以内に拾えば食べても大丈夫だとする世界的な迷信「5秒ルール」について、米国の消費者団体コンシューマー・リポートが専門家の見解を交えた検証記事を発表した。専門家の意見は「多くの場合、5秒ルールは有効ではない」というもの。「床の表面に存在する細菌が、場合によってはほぼ瞬時に食品に移行する可能性がある」と警告しており、コンシューマー・リポートで食の安全を担当するジェームス・E・ロジャース博士も「たとえ5秒以内であっても、落ちたものを食べるべきではない」と呼びかけている。

コンシューマー・リポートがインスタグラムでアンケートを行ったところ、参加者の84%が「床に落ちた食品を食べたことがある」と回答。多くの人が「家の床なら拾って食べる」と限定していたものの、少数ながら公共スペースの床に落とした食品でも食べる人がいることがわかった。

ラトガース大学のドナルド・W・シャフナー博士による2016年の研究報告では、物体の表面から食品への細菌の移行は場合によってほぼ瞬時に起こる可能性があり、5秒ルールが有効ではないことが判明したという。ただし、細菌の付着は食品の特性によって差があり、乾いた食品よりも水分を含んだ食品の方が速いペースで移行するため、食品ごとにリスクが異なる。また、床の表面の状態でも異なり、セラミックタイルと比べてカーペットは移行速度が緩やかなことがわかった。

通常、床に落ちた食べ物によって病気になる可能性はそれほど高くないが、『Did Just You Eat That?』の共著者、ポール・ドーソン博士は「万が一、重篤な病気を引き起こす細菌がいる場所に食べ物を落としてしまった場合、その細菌は間違いなく食べ物に付着する」と指摘。家の中で靴を履いている場合、外部から有害な細菌を持ち込んでいる可能性があるという。

ジェームス・E・ロジャース博士によると、床に落としてもリスクが小さい食品としては、リンゴやプラム、ブルーベリーといった洗い流せるものや、ジャガイモや玉ねぎなど皮をむいて食べるものなどがあるという。また、床から拾い上げた後、加熱調理される食べ物もリスクが小さくなるという。

コンシューマー・リポートは「結局のところ、(床に落ちたものは食べてはいけないという)常識を働かせることが重要。床から拾って食べる前に床の種類、汚染状況、誰が食べるのかを考えてほしい」とアドバイス。特に小さな子ども、高齢者、免疫力が低下している人ほどリスクが大きくなると指摘している。

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