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家電製品PLセンター、昨年度相談受付状況 損害事故相談が大幅減

家電製品PLセンター
◎総受付件数は増加 エアコン、洗濯機など上位

家電製品の事故をめぐる裁判外紛争解決機関「家電製品PLセンター」(永関雅史センター長)は6月16日、相談受付状況に関する2022年度報告書を公表した。それによると、相談総受付件数は前年比18%増の2074件となり、9年ぶりに2000件を突破。一方で、損害事故に関する相談は前年比26%減の147件と大幅に減少した。一般消費者からの損害事故以外の問い合わせや苦情が増え、全体の件数を押し上げたという。

永関雅史センター長

同センターは1995年3月に設立した法務大臣認証の中立公正な裁判外紛争解決(ADR)機関。紛争解決のほか、家電製品の事故や安全性に関する相談を受け付けてきた。報告書によると、2022年度に受け付けた相談件数は2074件。2014年度以降、年間受付件数は2000件弱で推移してきたが、コロナ禍の20年度、21年度は若干減少。22年度はコロナ禍以前の水準に回復し、9年ぶりに2000件を超えた。開設以来28年間の累計受付件数は4万8954件となった。

22年度の相談内容別では、一般相談が前年比23%増の1927件、損害事故相談が26%減の147件。一般相談の増加が全体の件数を押し上げた形で、損害事故相談件数は2000年度以降、最も少ない水準となった。損害事故相談のうち、被害が製品にとどまる「非拡大事故」の相談は63%減の25件、被害が生命や人体、財産に広がる「拡大損害事故」の相談は8%減の122件だった。斡旋案件は前年度に引き続きなかった。

一般相談における製品別の上位5位はエアコン(333件)、テレビ(169件)、洗濯機(163件)、パソコン(132件)、冷蔵庫(119件)。相談内容は故障に関連するものやメーカーの対応への不満などが目立ち、エアコンでは据付工事や性能に関する苦情が多く寄せられた。

一方、損害事故のうち拡大損害事故に関する相談では、洗濯機が20件と最も多く、以下、エアコン10件、冷蔵庫8件、ヘアドライヤー5件などと続いた。

洗濯機の拡大損害事故では、水漏れ、洗濯物の破れ、洗濯機の振動等による周囲破損の相談が目立った。「新築住宅に設置したドラム式洗濯乾燥機から水漏れし、床や洗面室の扉などを損傷した。水漏れの原因は製造不良により内部ホースに亀裂が入ったことによるものとメーカーは責任を認めている。今後どのように交渉をしていくべきか教えてほしい。」「全自動洗濯機で毛布をネットに入れずに洗ったところ、洗濯機本体が暴れ、洗面所のシンクにぶつかりシンクに穴が開いた。毛布は専用の毛布洗いネットに入れて洗濯するよう取扱説明書に注意表示があることからメーカーからは一切補償できないと言われた。メーカーが補償に応じる余地はまったく考えられないのか。」などの事例が寄せられた。

同センターは紛争解決と事故の未然防止を図るため、ホームページを通じた情報発信に注力する。月次の相談受付概況を紹介する「家電製品PLセンターインフォメーション」を毎月公表しているほか、拡大損害事故の相談事例データベースやFAQなどのコンテンツ強化を進める。

(本紙「ニッポン消費者新聞」7月1日号より転載)
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