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東京都「悪質事業者通報サイト」開設10年 通報1万件超

◎事業者指導・処分につなげる/誇大広告の通報、昨年度は過去最多に

消費者からの通報を悪質事業者の取り締まりにつなげる東京都の「悪質事業者通報サイト」が開設10年を迎えた。10年間に寄せられた通報件数は通算1万1815件にのぼり、「誇大広告」に関する2022年度の通報件数は過去最多の248件となった。サイトの認知度向上などを背景に幅広い世代から通報が寄せられるようになり、取引指導課はさらなる情報提供を呼びかけている。

消費者からの通報を迅速な事業者指導・処分につなげる東京都「悪質事業者通報サイト」のトップ画面

通報サイトは2013年5月24日、巧妙化する悪質手口や被害の状況などをいち早く収集するための窓口として開設。都内在住・在勤・在学者からおおむね2年以内の事例について通報してもらい、取引指導課が違法性を検証して迅速な事業者指導・処分につなげてきた。当初は悪質商法と架空請求に関する情報を受け付けていたが、2018年9月28日にサイトを大幅リニューアルした際、誇大広告に関する通報窓口も新設。スマートフォンからでも通報しやすいよう改良を施したこともあり、通報件数が大幅に増加した。

10年間の総受付件数は1万1815件。内訳は「悪質事業者」が4978件、「誇大広告」が834件、「架空請求」が6003件。架空請求の通報件数は年度によって大きく変動するが、悪質事業者と誇大広告の通報件数は増加傾向にあった。

このほど公表した2022年度実績によると、悪質事業者の通報件数は814件(前年度868件)と減少したものの、誇大広告は248件(前年度209件)と過去最多を更新し、架空請求が1147件(前年度770件)だった。サイトリニューアル時(18年度)との比較では、悪質事業者は1.9倍、誇大広告は3.4倍に増えていた。

主な通報内容は詐欺サイトと思われる通販サイトや定期購入契約に関するもの、悪質訪問販売、効果効能をうたった誇大広告など。都はこれらの情報をもとに悪質商法について行政処分1件、行政指導28件、誇大広告について行政処分1件、行政指導14件を実施。架空請求については23件の事業者名公表を行った。

通報件数が増えていることについて、取引指導課の西尾由美子課長は「サイトの認知度向上に加え、悪質事業者の取り締まりや都民への注意喚起といった実績を積み重ねてきたことが良い循環を生んでいるのではないか」と分析。誇大広告の通報件数の増加については「ネット通販の成長とともに増えているという印象。広告のデジタル化も背景にある」と語った。

開設当初は20~30歳代からの通報が全体の4割を占めたが、近年は30~40歳代を中心に50~60歳代からの通報も増えており、幅広い世代に広がっているという。西尾課長は「都民からの通報が事業者指導などにつながる。取引や勧誘、広告などでおかしいなと感じたらぜひ通報してほしい」と呼びかけた。悪質事業者通報サイトは消費生活に関わる東京都の情報サイト「東京くらしWEB」からアクセスできる。

(本紙「ニッポン消費者新聞」8月1日号より転載)
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