【米国】酒類へのアルコール含有量表示 当局が義務化検討へ

米国の消費者3団体は11月21日、財務省アルコール・タバコ税貿易管理局(TTB)がアルコール含有量表示に関する規制案の発行に同意したと発表した。3団体による請願書に対し、TTBが回答を寄せ、「ルール作りの手続きを新たに開始する」と明言したという。3団体は今年10月、TTBが長年にわたる請願に対応してこなかったとしてコロンビア特別区連邦地方裁判所に提訴していた。これを機にTTBが重い腰を上げたとみられる。

3団体は公益科学センター(CSPI)、アメリカ消費者連合(CFA)、全米消費者連盟(NCL)。

3団体は他の団体と連携して2003年以降、酒類にアルコール含有量、アレルギー情報、栄養成分の3つの表示を義務付けるようTTBに請願してきた。しかし、義務化に向けた手続きが一向に進まず、自主ガイダンスの発行にとどまるなどしたという。

提訴後に寄せられた回答書では、TTBはアルコール含有量、カロリー、アレルギー情報の表示義務化を盛り込んだ規則案を来年中に公表すると約束。栄養成分表示についても、義務対象とする項目を示す予備的な規則案作りに乗り出すと明言した。

NCLのサリー・グリーンバーグ氏は「ここまで来るのに19年もかかった。我々が要求してきたのは、他の飲料や食品では当たり前に表示されている項目だ」と強調。CSPIのペーター・ルーリー氏は「これまでの遅れを取り戻すようTTBが迅速に対応することを願っている」とコメントした。CFAのトーマス・グレミリオン氏は「消費者は購入する製品について、一貫性、信頼性、関連性のある情報を入手する権利がある。アルコール業界はあまりにも長い間、消費者を暗闇に閉じ込めてきたが、TTBの発表は重要な前進となる」と語った。3団体は「アメリカ国民にとって重要な勝利だ」と宣言している。

規則案作りについては、米下院・上院の歳出委員会の報告書にも明記され、強力な後押しを得た形。TTBは3つの表示について意見募集を行う予定で、3団体に意見提出などルール作りへの参加を呼びかけた。一方で、TTBは回答書の最後に「一部の業界メンバーは、あなた方とは異なる見方をしている可能性がある」と追記。利害関係の調整が難しいことを匂わせている。

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