国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際葬儀連盟)は90カ国が加盟する葬祭事業者の唯一の国際組織。全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)の北島廣副会長が会長を務める。1969年にパリで発足準備会が組織され、70年にモナコで設立総会が開かれた。今回の横浜大会は創立50周年の記念すべき大会だ。日本での開催は18年ぶり2回目だが、オリンピック・パラリンピックを前に訪日・滞日外国人が急増する中、内外の注目度は高い。

全日本葬祭業協同組合連合会

前回の世界大会で記念撮影に応じる全葬連代表団(2018年9月28日、ボリビア・サンタクルス市にて)

今大会では、葬祭業に関する世界の法制化の現状、火葬や火葬場の実情、国際遺体搬送の課題などが報告され、日本から遺族意識の調査結果なども報告される。葬儀の形態は国によって違いがあるが、亡き人をていねいに弔いたいとする祈りの思いは各国・万人共通だ。どんな成果が生み出されるか、ネット広告の不当表示など葬儀関連トラブルが深刻化し始めている日本にあって、各国法制度の運用も報告される国際大会に消費者団体も関心を寄せている。

全葬連65周年に該当、歴史的な年に

国際大会が開催される今年は全葬連創立65周年の年でもある。全葬連会長・石井時明さんは、2020年を「国際葬儀連盟50周年、全葬連65周年の記念すべき年」と位置付け、その開催準備に奔走している。

国際葬儀連盟の会長は全葬連副会長の北島廣さん。全葬連・南正毅事務局長によると、北島さんの海外行脚はハードで、昨年11月のパリ訪問の際は、国際葬儀連盟の三役会に出席し、日本大会の内容や今後の指針を協議、各国役員に世界大会への参加を働きかけたという。

「北島会長はボリビアで会長に就任以降、ポーランド、オーストラリア、パリ、ロンドンと全速力で世界を回っています。90カ国が加盟する国際葬儀連盟の世界大会ですので、最大で約七百人から八百人の参加を予定しています」(南事務局長)。

国際葬儀連盟はアジア、アフリカ、オセアニア、南米アメリカ、ヨーロッパと、ほぼ世界の大陸を網羅するネットワークを持つ。全葬連によると大きくは三分野の活動目標を掲げ、その実現をめざしているという。

一つは、国際間の遺体搬送に伴う情報共有と書類の整備だ。火葬か土葬か、宗教上などの違いによって各国で葬儀の形態は異なる。海外で亡くなった場合、自国に遺体を搬送する際、遺族のためもスムーズに手続きを進めることが大切だ。あらかじめ国際ルールなどの情報を共有し、書類を整備しておくことが必要となる。

二つ目の活動は、どの国でも葬儀は地域の伝統文化として継承されてきた経緯を持つことから、その葬送儀礼文化を無形文化遺産としてユネスコに登録を求める活動だ。葬儀を伝統文化として国際的に保護・継承していくことをめざしている。

そして三つ目は、加盟国・事業者間での研修制度の運用だ。国は違っても葬送儀礼を尊重する気持ちは同じ。それを相互に学び、遺族に寄り添い、亡き人を偲ぶ心の大切さを培うことをめざしている。日本にはこれまでボリビアとスペインから研修生が派遣されてきた。

世界の実情踏まえ、日本でも制度検討の声

このような活動目標を持つ国際葬儀連盟の世界大会が6月23日、横浜で開催される。記念講演、パネルディスカッション、各国代表による報告会などが予定されている。

ドイツ、ベルギー、オランダ、イギリスの葬儀関連事業者などが、それぞれ「各国の法制化の現状」「火葬及び火葬場の現状」「国際遺体搬送の課題」などを報告する。また、京都大学、埼玉医科大学などの研究者などからは「遺族の意識に関する調査結果」が報告される。葬儀を経験した遺族を対象とした日本で初めての調査結果だ。

注目テーマに基づく報告が目白押しだが、中でも「各国の法制化の実情」については、葬祭業への適正化が課題となっている日本では関心が高い。実際、ネット広告の不当表示、追加料金発生に絡んだ消費者トラブル、互助会加盟企業と消費者との解約紛争など、深刻な消費者被害やトラブルがあとを絶たない。消費者団体からは、少なくとも葬祭業に登録制度を導入し、消費者への情報提供体制を整備することが必要との意見も提起されている(ニッポン消費者新聞・昨年9月1日号)。

遺族が安心でき、納得する葬儀へと認識を深めあう契機に。その点を交流しあう、大きな意義を持つ世界大会となる。

(本紙「ニッポン消費者新聞」1月1日新年特集号より転載)

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